35年トータルの返済額で変動型が有利
2つ目は、長期的に見たときの金利です。私の見立てが外れて早期に政策金利が2%、3%に引き上げられたとしても、その金利が35年間続く可能性は低いと考えられます。
金利は基本的に景気サイクルと連動します。好景気になれば金利は上がりますし、不景気になれば下がります。仮に35年間、高金利が続くとすれば、その間は、ずっと日本経済も好景気が続くことになります。それは難しいでしょう。
そう考えると、住宅ローンの金利も上がったら下がり、下がったら上がる、波のような動きをすると考えられます。35年の返済期間をトータルで考えれば、固定型よりも変動型の金利が高くなるのは考えにくいのです。
以上の2つの理由から、私は変動型が有利と考えています。
では、現在、変動型を借りている人は何もしなくていいのか。それは違います。これから金利が上がることは確かですから、いまのうちにできる対策を講じておく必要があります。
変動から変動への借り換えで負担を減らすことも
一つは金利が上昇したときに返済が続けられるかどうかセルフチェックをしておくことです。なかには金利が上がった時点で「固定型に借り換えればいい」と考えている人もいますが、そのときには固定型の金利は相当に上がってしまい、返済額が上がってしまうでしょう。
この先、変動型の金利が上昇して返済額が増えても家計が破綻しないように支出を見直しておくことが必要です。
もう一つの対策として、変動型から変動型へ借り換える方法があります。住宅ローンの金利は基準金利がベースとなり、そこからどの程度のディスカウント(引き下げ幅のこと。優遇幅とも言う)をおこなうかで適用金利が決まります。
つまり、ディスカウント率が大きいほど、負担する金利を低くできます。キャンペーンなどで、より大きなディスカウントが受けられる金融機関を探すのが有利なのです。
たとえば、モゲチェックでは一定の条件を満たすと、変動型で0.29%の優遇金利を実施しています(10月末まで)。この場合、現在借りている金利が0.525%以上であれば、借り換えで返済額を減らすことができます。また、auじぶん銀行では、普通預金残高に応じて、住宅ローン利息の一部を毎月現金でキャッシュバックするキャンペーンを10月15日から開始しました。こうしたキャンペーン情報をこまめにチェックすることも重要です。
その際には、団信の内容も確認してください。金利が多少高くても、保障内容が充実している住宅ローンを選ぶのも一つの方法です。
もし、「今後大幅に金利が上昇する可能性が高い」と考えるのであれば、固定金利に借り換える方法もあります。その場合でも全期間固定ではなく、固定期間20年の固定特約商品にすることで金利を抑えることはできます。21年目以降は、その時点の固定金利を選ぶか変動金利を選ぶかになりますが、それほど残高は残っていませんので、変動金利が上がっていたとしても、大きな影響は受けないでしょう。