住宅ローンは新規顧客を取り続けないと儲からない

背景にはネット銀行を中心とした熾烈な金利競争があります。

実は、住宅ローンは基本的に新規の顧客を常に取り続けなければ利益を出しづらいビジネスモデルになっています。住宅ローンは融資をする際に、銀行は元本の2%を事務手数料として徴収します。これが主な収益源です。もちろん、返済期間中の金利収入もありますが、これまでのような低金利では、その収入はあまり期待できません。そこで、新規融資の事務手数料が収益の柱になっているのです。

新規顧客を取り続けなければならない理由はもう1つあります。団体信用生命保険(団信)です。団信は、住宅ローンを返済中の人が亡くなったときなどに返済を肩代わりしてくれる保険です。

保険料は銀行が生命保険会社に支払う仕組みになっていますが、その保険料は住宅ローン利用者の平均年齢で決まります。新規の顧客がいなければ、平均年齢は毎年1歳ずつ上がり、保険料も上がってしまいます。それもあって、新規顧客獲得の手綱を緩めることができません。

住宅ローン問題、固定金利、変動金利
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住宅ローンの金利はこれからも変動型が有利

こうした事情があるため、今後住宅ローンの金利がどんどん上がっていくことは考えにくいのが実情です。

これを前提に変動型の住宅ローンを借りている人がどうすればいいかを考えてみましょう。結論からいえば、固定型に借り換えず、変動型のままのほうが有利ではないかと個人的には考えています。

理由は大きく2つあります。1つ目は変動型と固定型の金利差です。現状で1.4%程度の差があります。日銀がさらに金利の引き上げを実施したとしても、変動型の金利が現在の固定型の金利に追いつくには時間がかかります。

仮に日銀の金利引き上げが1回0.25%とすれば1.4%÷0.25で5.6回となります。つまり、これから6回の金利引き上げがなければ、変動型が固定型の金利を上回ることはありません。

9月に行われた日銀の金融政策決定会合の議事録が10月1日に公表されました。ある委員は「2025年度末に1%を目指して引き上げるべきだ」といっていました。現在の政策金利は0.25%ですから、1回0.25%として、3回の利上げでの打ち止めを想定していることになります。