金利が1%上昇すると物件価格は20%下がる
ここまでは、すでに住宅ローンの返済をしている人の対策を考えてきましたが、これからマイホームの購入をする人にはどんな影響があるでしょうか。
金利上昇は基本的に不動産価格を下げる効果があります。例えば、元本3500万円を金利0.5%、35年返済で借りる毎月返済額は9万1000円(ボーナス返済なし)です。
金利が上がってもマイホームを購入する人の返済能力は変わりません。仮に金利が0.5%から1.5%に上がったとして、毎月の返済額を9万1000円に抑えようとすると、借入可能額は3000万円に下がります。購入できる人がいなければ物件は売れません。その分、物件価格が下がる可能性が高くなります。理論上の計算では、金利が1%上昇すると、物件価格は20%程度下がります。
そう考えると、今回は0.15%金利が上昇したので、理論的には3%の価格下落になります。とはいえ、日本ではいまインフレになっていますから、その意味では価格上昇の圧力があります。その結果、希少性が高く、利便性のいい都心の物件は価格が上がり続け、郊外の物件は金利負けして下がるという二極化が進むと考えられます。実際に東京郊外の八王子の一戸建ての価格は坪単価が下落傾向にあります。
石破政権で住宅政策はどうなる⁉
また、石破新内閣が10月1日にスタートしましたが、金利や住宅価格にどんな影響があるでしょうか。私は「それほど大きな影響は出ない」と考えています。基本的に金利の上昇は株価にはマイナスです。2024年から新NISAが始まっていますから、政府として多くの国民に損をさせるような金融政策は取りづらいはずです。
さらに、変動金利が急激に上昇した場合には緊急措置をとると明言しています。個人的には住宅ローン減税ではないかと思います。
住宅ローン控除は、以前、住宅ローンの残高に対して1%の税額控除でした。ところが、住宅ローンの金利が下がり続けたため、控除率が金利を上回る現象が起きました。会計検査院から指摘を受けて控除率が0.7%に引き下げられたのです。今後、金利が上昇するのであれば、控除の率を元に戻す議論はありうるでしょう。
17年ぶりに住宅ローンの金利が上昇したからといって慌てる必要はありませんが、さらなる上昇も考えて、できる対策を検討しておくことは重要です。