2次試験は日に日に受験者が減っていく

高校3年の2月、いよいよ藝大入試がやって来ました。2年間、自分なりに考えて努力して、積み重ねてきた成果を出す時です。いや、必ず出し切って人生を逆転させなければいけないのです。

センター試験は点数を取れていない、ということは自分でもわかっていましたが、根拠のない“現役の自信”がありました。本気で「多分、受かるだろう」と思っていたのです。

「実技がすごく良かったら、正直センターは点数を取れなくても受かるんじゃないかな……」

藝大作曲科の入試では、ほかの国公立大学のように1次のセンター試験の“足切り”はありませんでした。志願者全員が進める2次試験は、ピアノ、ソルフェージュ、作曲などの実技や音楽的知識を問われる試験を1日目から4日目まで行い、50人ほどいた受験生が1日ごとに10人くらいずつ落とされていく、という流れになっています。

審査が進んでいくごとに人が減っていく雰囲気は、オーディションや就活に似ているかもしれません。4日目の最終試験まで残れると、教授陣との面接もあります。

最終試験でふるい落とされた原因は英語

特徴的なのは、事前の“足切り”がない代わりに、この最終試験後に“足切り”があること。センター試験の点数が基準に達していないと、2次試験の結果が合格ラインを超えていたとしても、4日間を終えた後の最後の合格発表で落とされてしまうことがあるのです。あとひとつ関門を越えれば合格が手に入るところまで来ていて、目の前で落とされる。それだけでも辛いのに、それが音楽の力ならまだしも英語や国語でとなったら――。この不合格は、かなりメンタルにきます。

初めての入試、私も2次の最終試験までふるい落とされずに残ることができました。でも合格発表の日、合格者の受験番号が貼り出される掲示板には、私の番号はありませんでした。大ブレーキになったのは、あろうことかセンター試験の英語でした。

自分の入試の各課題や科目の採点結果は、後日、大学事務局に開示請求をすると確認することができます。どの科目や課題が足を引っ張ってしまったのか、自分が受験者中何位だったのか、すべて教えてくれるのです。

悔しいし辛い作業ですが、これを確認しておくことで「自分は何が足りなかったか」「どこがダメだったか」を正確に把握することができるので、来年の入試に向けてやらない手はありません。