2度目の入試は確かな手応えがあったのに…

ただいつまでも落ち込んでもいられません。そもそも、藝大に行こうと決めた当初は「何回かノックすれば届くだろう」と考えていたわけですから、浪人は想定内です。

まず、1度目の試験を自分なりに総括して振り返ってみました。

「……全体的にどれもギリギリで、がむしゃらだったな」
「ただ、そのなんだかわからないがむしゃらさがあったから、なんとか本当に最後の最後でボーダーラインに辿り着いた、という感じだろうな」

つまり、まだまだ余裕を持って試験に臨めるほどの力は備わっていない、ということです。

一方で大きな収穫もありました。そんな中でも最終試験まで残れた、合格者に近い位置にいた、という結果に手応えを感じました。

「2年間、勉強してきたことは間違っていなかったし、正しい方向にちゃんと向かっているんだ……!」

実際、浪人期に入ると音楽の勉強を現役時よりさらにしっかりと積み上げることができました。勉強をしていても、余裕を持って問題に取り組めるようになってきたのです。実際の2度目となった入試でも、それは表れていて、前年、緊張から失敗してしまった初見演奏も上手くこなせて、「これは受かったな」という手応えがあったのです。

ところが、2度目の受験、またしても不合格でした。

足を引っ張ったのは、またしても英語

原因は信じられないことに、またしても英語――1度目に続き2度目のセンター試験も50点しか取れないという、同じ過ちを繰り返してしまったのです。

「英語」という単語のパズルピース
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試験勉強は、試験前、気休め程度に一瞬だけシャドーイングをやったのみでした。

不合格だとわかった後、気力を振り絞って、開示請求をして試験結果の確認をしてみると、恐ろしい事実が判明したのです。

ピアノもソルフェージュも作曲も、私の得点アベレージは全受験者中、2位、3位といったところでした。正直、余裕で合格できるレベルだったわけです。本当に英語があまりにもできなさ過ぎて、落ちてしまいました。

やはり、英単語や構文、文法を覚えたり問題を解いたりということが、どうしても自分のやりたい勉強ではなかったのです。しかし、受からなければただの言い訳。後の祭りです。