大臣の「つるし上げ」をなんとしても避けたい…

予算委員会は首相だけでなく全閣僚が出席するのが習わしになっており、大臣の失言やスキャンダルが飛び出して政権が窮地に追い込まれる舞台にもなってきた。

答弁に慣れていない大臣の発言ひとつで内閣支持率が転落する可能性もある。

そうした事態を恐れて、予算委員会が開けないような超短縮日程を敷いたわけだ。

「石破首相は自身の論戦力には自信を持っている。そのため、与党は党首討論の開催を求めており、野党各党と十分な論戦ができるよう、通常の45分間から時間を延長する案も挙がっている。しかし、予算委員会では答弁能力に不安がある大臣や、過去に問題発言をしている大臣がつるし上げられる可能性があるため、開催を拒否しているのだ」(自民党関係者)

しかし、石破氏は総裁選で「国民が判断する材料を提供するのは政府、新しい総理の責任だ」と述べたほか、「(与野党の)本当のやりとりは予算委員会だ」とも明言している。

党首討論の時間を延ばしただけでは、変節との批判は免れないだろう。

立憲議員の1人は「総選挙で問われるのは石破首相1人ではなく、石破政権全体だ。すでに資質が問われている大臣もおり、首相だけでなく全閣僚が出席する予算委員会が開かなければ意味がない」と怒りをあらわにした。

石破茂首相と閣僚たち
石破茂首相と閣僚たち(写真=内閣官房内閣広報室/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

「チームワークが苦手」という致命的な弱点

石破首相の態度が豹変してしまった実態について、番記者の1人は「石破氏の人間性の問題だ」とも語る。

「石破氏はこれまで十分に仲間づくりをしてこなかった。議員との飲み会が嫌いで、『そんなことより読むべき本があるのだ』と言って部屋に引きこもるのが日常となっていた。一時は自身の派閥、水月会を立ち上げたが、積極的に仲間を作ろうとしない石破氏に愛想を尽かして1人また1人と離脱、2021年にはグループに格落ちした」

そのうえで、今回の予算委員会の開催拒否について「要はチームワークが苦手なわけだ。党首討論であれば、石破氏本人の単独プレーで乗り切ることができるが、予算委員会は大臣と互いに連携して答弁を乗り切らないといけない。これまでは『自民党内野党』として与党議員でありながら政権に対して好き勝手に批判をしてきたが、いざ自分が政権のトップに立つと、チーム戦の戦い方がわからず防戦一方になってしまったのだろう」と分析した。