ビジネスメールではどんなことに気をつければいいのか。日本ビジネスメール協会代表理事の平野友朗さんは「『打ち合わせは、いつがご希望でしょうか』といった、相手に決定を委ねるメールは避けたほうがいい。こうした言い回しは一見気を遣っているように見えるが、相手に無駄な手間をかけさせる」という――。

※本稿は、平野友朗『ずるいメール術』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

毎日の予定を書く女性の手
写真=iStock.com/Pra-chid
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「相手にすべて任せる」は配慮ではない

若手社員ほど難しい「メールにおける配慮」

「打ち合わせは、いつがご希望でしょうか」
「どのようにしたらよろしいでしょうか」

あなたはこのような言い回しを「相手への配慮」だと思って、メールを送ったことはありますか。

「メールにおける配慮」を、相手の言い分を聞き入れることだと思っている人が多いようです。

相手の希望や要望を聞いて、それを受け入れることが配慮なのだとすれば、こちらの希望や要望を伝えることは配慮に欠けるということになります。

果たして、本当にそうなのでしょうか。

そのメール「後出しじゃんけん」では?

前述したような相手に決定を委ねる言葉は、一見、気を遣っているように見えますが、実は相手に無駄な手間をかけさせる可能性があります。

それはいったいなぜなのか。

下のやりとり例を見て、あなたがメールを受けとった側だったらどうするか、考えてみてください。

相手 打ち合わせは、いつがご希望でしょうか
あなた 来週の月・水・金だったら都合がいいですよ
相手 すみません、その日は都合が悪いんです

私がこうしたメールを受けとったら「それなら、先に候補日を出してくれればよかったのに」と、相手の配慮のなさに、少し残念な気持ちになりながら「では、再来週の火・金はいかがですか」と返信をすると思います。

皆さんは、どうでしょうか。

相手にネガティブな感情を抱いてしまったのではないでしょうか。

このように、相手に決定を委ねるメールは、一概に「配慮できている」とは言えないのです。

「メールの主導権を握る」と相手にもメリットがある

メールの主導権は、誰でも握れる

ずるい人は、メールの主導権を自分で握ります。

相手に任せるのではなく、こちらの都合を伝えた上で、選んでもらうようにするのです。

メールの主導権を握ると言われると偉そうに聞こえて、真似しにくいと思われるかもしれませんが、相手にも次の2つのメリットがあります。

1.情報を全て出してから考えられる
2.無駄な思考をカットできるので効率がいい

それに、選択肢を提示するのは、そんなに難しいことではありません。

「私は、来週だと火曜日と木曜日が終日空いています。○○さんのご都合は、いかがですか」
「定価は100万円ですが、ご予算に収まりそうでしょうか」

こうすることで、両者の希望や条件をすり合わせた、お互いに納得ができる着地点を見出すことができます。

一方的に自分の条件を押しつけているわけではないので、無礼や生意気といったネガティブな感情は抱かれません。

判断材料を提供しよう

「何か食べに行きませんか?」と丸投げされるよりも「和食か中華を食べに行きませんか?」と誘われた方が、予算や場所、食事のジャンルなどを考える必要がないので、気軽にOKできませんか。

これは、相手からあなたへの思いやりです。

このように、自ら相手に働きかけるときは、相手に全て任せるのではなく、自分で場をコントロールする意識を持ちましょう。

まずは自分から、相手が判断するための材料を提供するのです。

POINT
1.相手の都合を聞きすぎない
2.希望や要望、条件は事前に伝える
3.相手に判断材料を提供する