顧客が抱える背後に潜むもっと大きな問題
企業が抱える「真の問題」が明確になる
「うちの会社の○○が問題なので、何とかしてほしい」
顧客からの依頼は、こんな形で来ることが多い。
しかし、顧客の指摘している問題が“真の問題”だったことはほとんどない。
多くの場合、顧客が問題だと言っているその背後に、もっと大きな問題が潜んでいるのである。
たとえば営業力が弱いので、営業力強化のコンサルティングをしてほしいと依頼されたとしよう。
そこで私たちが調べてみると、営業力の弱さは、営業に向いている人を採用しているかどうかの「採用基準の問題」である場合がある。
すると問題は営業力の強化ではなく、採用基準を見直すことにあるといえる。あるいは、その後の評価基準がおかしいために、営業マンのモチベーションを下げているということもある。
つまり、企業が問題としているのは真の問題ではなく、真の問題のたんなる「結果」に過ぎないということだ。
何が問題かが問題だ
「結果」を「問題」として取り違えているうちは、いくら対処しても問題解決にはならない。
胃が痛いのは、痛みそのものが問題なのではなく、胃にできた潰瘍やガンが本来の原因であり問題なのだ。痛み止めを飲めば、一時的に痛みを忘れるかもしれないが、手術や適切な薬の処方で病根を断たねば、いつまでも同じ痛みが襲ってくる。それと同じことだ。
よく私自身は「何が問題かが問題だ」という言葉を使う。ところが、これがじつに難しい。
本当の問題を見極めるには、因果関係を読み解く論理的な思考や分析力、経験値や勘など総合的な力が必要になる。
問題さえしっかりと認識できれば、解決策は自然と導かれてくる。問題解決の方策はそれこそいろいろな方法があり、難しいことではない。本当に難しいのは何が問題か、つまり「問題をどう設定するか」ということだ。
この「問題設定能力」を徹底的に鍛えているのが、一流のコンサルタントである。この点1つを取ってみても、コンサルティングを雇う意義と効用があることがわかっていただけると思う。