物事の本質を捉えるにはどうすればいいか。経営コンサルタントの堀紘一さんは「コンサルタントに必要なクリエイティビティは、自分の頭で論理的に考えて仮説を立て、推論検証していく中で生まれていく。例えば日本を代表するような銀行である三菱UFJ銀行の株が当時400円台でPBR0.5というのが長いこと不思議で、この『何かがおかしい』という違和感から、一気にまとめて三菱UFJ銀行の株を買うと儲かった。つねに自分の頭で物事の本質を見極める姿勢が大事だ」という――。
※本稿は、堀紘一、津田久資『本物のコンサルを選ぶ技術』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
優れたコンサルはクリエイティブである
コンサルティングの本質とは何かと問われたら、それは「論理性」と「クリエイティビティ」の2つだと言える。
コンサルタントがものを考えるときは、徹底して論理的に考える。すべての結果には原因があり、その因果関係をいかに鮮やかに読み解くかが、コンサルタントの力の見せどころというわけだ。
また、コンサルタントは企業における真の課題や問題を見極める力を持っていなくてはいけない。これもまた論理的な思考力が基本になければ、見極めることが難しい。
さまざまな現象や結果を踏まえて、それに振り回されることなくその本質を見極めなければならない。それは論理的な思考による仮説設定、推論、検証といった知的作業によって、はじめて可能になる。
ところで、論理的思考力を駆使してさまざまな出来事や現象の背景に潜んでいる本質や法則性を導き出すという作業は、それ自体が非常にクリエイティブなものだ。
発見された本質や法則性によって、事業経営にしても商品開発にしても、次の段階へと進むことができる。
このクリエイティビティは、たんなる情報収集だけからは生まれてこない。どれだけたくさんの本を読み、どれだけ知識を増やしても、それだけではなかなか身につかないものだ。
やはり自分の頭で論理的に考えて仮説を立て、推論検証していく中で生まれていく。さらに言えば、そこに幾多の経験が重なり、一種の職業的な勘のようなものが生まれてくる。