慢性的な頭痛で悩んでいる人は何科を受診すればいいのか。頭痛の実態を世の中に正しく知らせる活動を続ける千船病院産婦人科主任部長で頭痛外来を担当する稲垣美恵子さんの取り組みをリポートする――。

※本稿は、千船病院広報誌『虹くじら 04号』の一部を再編集したものです。

丸くて白い錠剤を飲んでいる女性のイメージ
写真=iStock.com/fizkes
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日本でわずか3人の産婦人科の頭痛専門医

専門外来とは、特定の症状や病気の専門資格や認定資格を持った医師や看護師が診察・治療を行なう「外来」(受診)を意味する。

診療科の枠を超えて、その疾患を専門とする医療者が担当、より高度で適切な医療を提供することができる。その一つ、頭痛外来を担当しているのが、産婦人科主任部長の稲垣 美恵子だ。

稲垣美恵子さん
撮影=奥田真也
千船病院産婦人科主任部長で頭痛外来を担当する稲垣美恵子さん

“産婦人科医”が“頭痛”の治療をする。一見すると意外な組み合わせのようにも思えるが、そうではないと稲垣は言う。

「頭痛の中でも、片頭痛は女性にとても多い病気なんです。特に30代、40代の働き盛りの女性に多くて、女性ホルモンの分泌が多い時期になりやすい傾向があります。それに、女性の片頭痛で一番多い誘因となるのは生理なんです。女性特有のホルモン変化によって、病状が変化するということがよく見られます」

頭痛というと〈頭〉の病気という印象が強い。やはり頭痛専門医は圧倒的に脳神経内科や脳神経外科の医師が多い。女性ホルモンが影響する頭痛に、産婦人科的な観点から病状の把握や治療のアプローチをしている病院は全国的にも稀である。

日本頭痛学会が認定する頭痛専門医はおよそ1000人、そのうち産婦人科の医師はわずか3人だけなのだ。