若い人ほどペットショップで購入している

猫の入手先としてペットショップが定着しつつあることは、ペットフード協会の調査からも見て取れる。年代が若いほど、もらったり拾ったりするのではなく、ペットショップで猫を買う人の割合が増える傾向にある。

ケースに入れられた数匹の子猫
写真=iStock.com/kyonntra
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ペットフード協会が毎年発表している「全国犬猫飼育実態調査」の23年分を見ると、20~70代の全年代では、猫を「ペットショップで購入」したという人は15.9%で、「野良猫を拾った」(31.1%)や「友人/知人/親族からもらった」(20.6%)には及ばない。

だが30代では「ペットショップで購入」が21.7%まで増え、「野良猫を拾った」(27.5%)に迫り、「友人/知人/親族からもらった」(20.0%)を逆転している。「ペットショップで購入」する人は20代(19.0%)と40代(20.1%)でも全年代平均より高くなっている。なお20代では「友人/知人/親族からもらった」は11.1%にとどまった。

こうした変化は、ペットショップの販売現場でも、数字になって表れてきている。

全国で約130店を展開する「AHB」では15年度、犬の販売数が前年度比7%増だったのに対し、猫は同11%となった。ペットショップチェーン大手「コジマ」でもこの数年、前年比2割増のペースで猫の販売数が増えているという。

18年に入ると、ペットショップにおける販売数の増加はさらに過熱。「猫は仕入れるとすぐに売れるため、地方都市まで回ってこない」(大手ペットショップチェーン従業員)という状況になり、この年のゴールデンウィーク前後には、猫の仕入れ値はさらに急騰したという。競り市では、子犬の落札価格を上回る子猫はもはや珍しくなくなった。

「増産体制」に入った猫市場

このように人気が過熱し、価格が高騰し、流通量が増えるということは、当然ながら生産量が増えることを意味する。猫ブームの裏側で2010年代半ば以降、猫は完全に「増産態勢」に入っていた。

16年初夏、ある大手ペットショップチェーンが都内で開催した繁殖業者向けのシンポジウムを取材した。講師を務めた同社所属の獣医師は、集まった繁殖業者らを前にこんなふうに語りかけた。

「猫の販売シェアが年々増加しています。昨年は約18%でしたが、今年のゴールデンウィークには20%を超えました。猫のブリーダーの皆さまにはたいへんお世話になっております。本日は、猫の効率の良い繁殖をテーマに話をさせていただきます。犬の繁殖とは大きく異なりますので、よくお聞きください」