「犬ビジネス」と同じ道を辿っている

ブームの恩恵を受けて、ペットショップも活況を呈する。週末の東京都内のペットショップに足を運んでみると、子猫の入ったショーケースの前には人だかりができていた。20万円台半ばから30万円台の子猫が目立つ。その猫種を見てみると、スコティッシュフォールドやアメリカンショートヘア……。

残念ながらこれは、いつかきた道だ。

振り返ってみれば、シベリアンハスキーやチワワがブームになった後、大量の捨て犬が社会問題になった。その背後には、繁殖に使われたたくさんの親犬たちの犠牲も存在する。

檻の中の多くの子犬
写真=iStock.com/TRADOL LIMYINGCHAROEN
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「犬ビジネス」は平成に入って急速に成長した。犬でできあがった、

工場化した繁殖業者(ブリーダー)による大量生産

ペットオークション(競り市)による量と品ぞろえを満たした安定的な供給

流通・小売業者(ペットショップ)による大量販売

というビジネスモデルに、いきなり猫たちが乗せられてしまったのだ。

ついこの間まで拾ったり、もらったりするのが当たり前だった猫たちだったが、テレビCMなどがはやらせたスコティッシュフォールドなど一部の純血種の人気が高まり、次第にペットショップで購入するものになりつつある。

8年間で流通量はほぼ2倍に

ペットショップの店頭では、はやりの純血種の子猫がずらりと並ぶ様子が当たり前になっている。2016年のゴールデンウィークには、競り市での落札価格が例年の3~4倍まで高騰し、子犬より高値がつく子猫も出て、業界内で話題になった。

朝日新聞の調査では14年度以降、猫の流通量は前年度に比べ平均1割増のペースで増えてきた。全国の動物取扱業にかかわる事務を所管する地方自治体に対し、13年9月以降にペットショップや繁殖業者に提出が義務づけられた「犬猫等販売業者定期報告届出書」について集計値を調査し(各年度とも回収率100%)、合算した結果わかった。

この届出書では、それぞれの業者がその年度中に「販売もしくは引き渡した」犬猫の数や、「死亡の事実が生じた」犬猫の数を報告しなければいけないことになっている。繁殖業者がペットショップに出荷・販売した場合にも1匹としてカウントされるので、「延べ数」として見てほしいが、国内の犬猫流通量のトレンドとしては十分に実態を反映している。なお、自治体によっては一部業者から届出書を回収できていないので、実数としてはこれよりも大きくなる。

このような調査が可能になった14年度と22年度とを比べると、猫の年間流通量はこの8年で89%増、つまりはほぼ2倍になっていることがわかる。