脱炭素に「使い捨てカイロ」が使える

では本題です。無酸素保存には「脱酸素剤」と「ガスバリア袋」が必要になります。袋の中の酸素を取り除いた後、外からの酸素の浸入を防ぐ組み合わせです。

脱酸素剤でよく見かけるものは、三菱ガス化学(株)の「エージレス®」です。鉄粉の酸化反応が空間中の酸素を吸着し、周囲を無酸素にしてくれます。また、これと同じ原理のものが「使い捨てカイロ」です。カイロもまた鉄粉の酸化反応で熱を作り出しますが、密封空間に入れると周囲の酸素を全て吸収するため、脱酸素に使うことができます。

使い捨てカイロ
写真=iStock.com/shironagasukujira
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酸素を透過させない袋を用意

なお、脱酸素剤やカイロが吸える酸素の量には上限があるため、外から空気が入ってしまうと無限に酸素が供給されてしまい、無酸素状態が失われます。そのため無酸素保存には酸素を透過させない「ガスバリア袋」があわせて使われます。

一般的な米袋やレジ袋、また各種「普通の袋」の多くは「ポリエチレン」という素材でできています。いわゆるポリ袋ですね。ポリ袋は気体を透過させやすく、完全密封しても外から空気が入ってきたり、逆に中身のにおいが外に漏れたりします。脱酸素剤で無酸素にしても、外から徐々に酸素が浸入し、無酸素状態でなくなってしまうのです。

酸素を通さないガスバリア性能の高い袋には、レトルト食品やコーヒー豆などによく使われる「アルミ蒸着袋」や、真空パック機の袋としてよく使われる「ナイロンポリ袋」があります。ナイロンポリ袋は真空パック機のロールタイプの交換袋をネット通販などで購入可能です。

真空パック機でお米を保存する場合は、一緒に使い捨てカイロを入れることで中が無酸素になるため、かなり長期間の保存が可能となります。が、少々手間がかかります。