竹の子を食べてみようと思った先祖に一目置きたい

穂先が良いか根元が良いか好みだが
爪楊枝の無い店では要注意

今放送中(2023年)の大河ドラマ「どうする家康」でも食事のシーンがある。殺伐とした戦国の世にあっても、夕餉ゆうげを囲むと心が和む。演者もそれなりに楽しみにしているのだ。ちなみに昨日の撮影シーンの献立は雑穀米に里芋の煮っころがし、なます、竹の子の煮物であった。どこかのオーガニックレストランのランチのごとくである。なますにニンジンが入って無いのは、当時まだ日本に入ってきていなかったからだそうだ。今後もブロッコリーやエリンギなどは乱世の食卓に並ぶことはない。そこに竹の子がいることで春のシーンだということがひと目で分かる。

しかしこの竹の子という食べ物、昔から食べられていたそうだが、野菜でも果物でもない、謂わば木材に近い。それを食べてみようと思った先祖に一目置きたい。当然堅いし、独特のえぐみがある。食べられないと判断してしかるべきだ。しかしなんとか食べる方法はないか。土から顔を出す直前なら柔らかくはないか。そしてついにぬかでるというアクの抜き方までたどりついた。はたしてそこまで何百年かかったことだろう。おかげで僕らは春のこの時期、香りと食感を楽しむことが出来る。