天皇陛下が受けられた「帝王学」の中身

さらに、昭和51年(1976年)の上皇陛下のお誕生日に際しての記者会見で「どういう帝王学をお考えですか」と質問された時には、次のように答えられた。

「帝王学という言葉が適切かどうかとも思いますが、たとえば、日本の文化、歴史、とくに天皇に関する歴史は学校などで学べないものです。それをこちらでやっていくことはしたい。……象徴学は1つの言葉で表せないと思います。いろんな材料を与えて、それをいかに咀嚼していくかが大事です」

また、ちょうど今の悠仁殿下と同じように、天皇陛下が大学進学を目の前に控えた時点(昭和52年[1977年])での、記者会見でのやり取りを紹介する。

当時、天皇陛下は帝王学(象徴学)の一環として、学習院大学の児玉幸多学長など一流の歴史学者から、“天皇の歴史“について個人的に学んでおられた。

上皇后陛下のご発言(10月18日)
「浩宮は学問も大切ですが、私はとくに、浩宮が将来の自分の立場を自覚して、皇室の歴史を貫く仁の心を身につけていってほしい」(仁の心とは、他を思いやり、いつくしむ心)
上皇陛下のご発言(12月19日)
「天皇の歴史というものを、その事実というか、そういったものを知ることによって、自分自身の中に、皇族はどうあるべきかということが、次第に形作られてくるのではないかと期待しているわけです」
「大学ではその時代を有意義に、学問に情熱を持って過ごしてほしいと。そのかわり皇族として必要なものは、こちらでそれに加えてやってほしいというわけです」

秋篠宮さまの教育方針

ここに一貫しているのは、個人的な興味や学問的関心とは“別に”、将来に天皇として即位するにふさわしい人格として「国民のことを常に考える」心がまえ、「皇室の歴史を貫く仁の心」を身につけてほしい、という願いだ。

これに対して、秋篠宮殿下の場合はどうか。

秋篠宮殿下のお誕生日に際しての記者会見のたびに、記者たちは繰り返し悠仁殿下への「教育方針」について質問を重ねてきている。しかし残念ながら、将来の天皇にふさわしい人格を身につけるためにどのような教育を心がけておられるか、真正面からのお答えはこれまでなされてこなかったように見える。