家計を支える経済政策が必要不可欠

ただインフレが続けばすべてうまくいくかというと、そんなに簡単な話ではない。

通常、インフレ下では賃金も上昇するため、物価が上昇しても現役世代にはそれほど影響はないことが多い。

だが、年金で生活している世帯などは、賃金上昇の恩恵を受けにくいため、物価上昇のデメリットが直撃しやすい。

今日本では2%以上のインフレが続いている。決して激しいインフレではないが、年金で生活する世帯にとって無視できない負担となっている。

厳しい生活費に落ち込む日本人女性
写真=iStock.com/takasuu
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少子高齢化の影響で、日本の約3~4割は年金で暮らす無職世帯となっており、賃金が上昇しても、なかなか個人消費が増えにくい構造になっている。

そのため、家計を支え、個人消費をテコ入れする経済政策が必要不可欠となっている。

「増税」と「社会保障負担増」が経済の足を引っ張っている

そもそも日本の個人消費が弱いのはなぜか。

端的に言えば、その理由は「国民負担率が急上昇したから」。要するに「増税」と「社会保障負担増」によるものだ。

図表3は、G7諸国の国民負担率を、2010年を基準に見たものだ。

日本の国民負担率だけがダントツで上がっていることがわかる。

消費税が2度にわたって引き上げられたほか、社会保険料も引き上げられている。日本経済が停滞し、賃金が下がっている中、家計の負担ばかり増えていたわけだ。

個人消費が伸びないのは当然というべきだろう。

【図表】国民負担率の国際比較 ~日本の上昇が著しい~
出所=OECD 筆者作成