岸田政権は「増税」だけではなかった
「増税」というと岸田政権のイメージが強くなってしまったが、岸田政権は家計を支援する政策にも取り組んでいた。
「エネルギー負担軽減策」や「定額減税」などがそれだ。
ほか、経済の構造改革にも積極的に取り組み、「新しい資本主義」の名の下に、「貯蓄から投資」「GX(グリーン・トランスフォーメーション)」「半導体産業への投資」といった政策が進められた。いずれも競争力強化につながる政策で、世界的な潮流にも沿っており、評価できる。
賃上げも実現し、春闘の賃上げ率が5.1%と33年ぶりの大幅アップとなったことで、実質賃金は27カ月ぶりにプラスに転じている。
もっと踏み込んだ「個人消費のテコ入れ」が必要
ただ、個人消費はまだまだ低迷しており、経済成長の足枷となっている。
政府は家計支援や個人消費のテコ入れについて、もっと踏み込んだ政策を実施すべきとも考える。
日本経済新聞によると、2023年の日本の実質賃金はマイナスだったが、群馬県と大分県の実質賃金だけはプラスだったという。
この2つの県はいずれも自治体が賃上げした中小企業に奨励金を出している。
こうした事実を見ると、「賃上げした企業への補助金」は有効な施策で、岸田政権が実施していた「税制優遇」より効果的だった可能性がある。
「賃上げ補助金」のほかにも、「消費額に応じて税が控除されるなど、消費すればするほど得になる仕組み」の導入も効果的だろう。