過度にリスペクトしていては勝てない
僕からはひとつだけ。憧れるのをやめましょう。(『大谷翔平 二刀流メジャーリーガー誕生の軌跡』辰巳出版)
スポーツでもビジネスでも、戦う相手や交渉相手に対して、過度のリスペクトや恐れを抱いていては持てる力の半分も出なくなります。たとえ実力があっても勝つことはできません。
勝つためには、精神状態をどのような状態に保てばいいのでしょうか?
第5回WBCの決勝直前、クラブハウスで「声出し」を初めて任された大谷翔平が強調したのは、有名選手がそろうアメリカチームに対するあこがれを捨て、勝つことだけを考えることでした。
見事にアメリカを破り優勝
アメリカチームには、野球選手であれば誰もが名前を聞いたことのある素晴らしい実績の選手たちが名を連ねていました。
なかには、日本人選手が尊敬してやまない選手もいたはずですが、その敬意が災いして「あの選手を抑えられるはずがない」「あの選手の球を打てるはずがない」「あんなメンバー相手に勝てるわけがない」と弱気な気持ちになると、勝てるはずのものが勝てなくなってしまいます。
「今日1日だけはそういう気持ちを忘れて、本当に対等な立場で必ず勝つんだという気持ちをみんなで出したいなと思っていました」という大谷の思いが通じ、日本は見事にアメリカを破って優勝することができたのです。