JR大阪駅から福知山線で約40分、国内唯一の生産拠点である兵庫県・三田製作所を訪ねた。
カーナビはすでに家電並みの普及品だが、それを構成する要素技術は実に多岐にわたり、技術革新のスピードが極めて速い。図に示すように、音声、映像はいうまでもなく、交通情報やデータ、通信など最新の情報通信技術も必須になっている。カーナビの生産にはOEM(相手先ブランドによる生産)と市販向けの2つのマーケットがあるが、最近の市場動向を踏まえ、中西康之所長はその厳しさを次のように語る。
「以前は車のモデルチェンジに合わせ、6年ぐらいの製品ライフサイクルがありましたが、今は2、3年に縮まっています。そのためカーナビ市場で勝ち抜くには、開発期間のリードタイムをいかに短くするかが至上命令になっているのが現状です。OEMにしろ市販にしろ、自動車メーカーから限りなく不良品ゼロを要求されるので、開発・設計や生産技術には特段の厳しさが求められます」
当然、常に他社の一歩先をいく技術革新のスピードにもついていかなければならない。「カーナビ技術はAVNC」つまり「AV(オーディオビジュアル)」に「N(ナビゲーション)」が付き、さらに「C(コミュニケーション)」が付加されるというのが中西の見立てであり、それだけに技術のシナジーというか、さまざまな要素技術を組み合わせて一つの製品に仕上げる「統合力」がカギを握る。