勝ち負けだけがスポーツの価値ではない

3つめは「グローバルなアップデート」。サッカー、バスケットなど球技にはトレンドがある。勝つために世界のトレンドの裏をかくことも時として必要になる。3つとも当然ながらすでに着手されていることだろう。ただ、そのことをファンが気にかけてウォッチすることが重要だ。個人攻撃や誹謗中傷は良くないけれど「それって選手のためになっているの?」とみんなで考えていくことが、スポーツを育てていくことにつながるのだから。

きれいごとだと言われるかもしれないが、私は五輪で是が非でも勝たなくてはいけないとは思わない。パラリンピックも同様だ。各競技とも、その時代ごとの「日本チームが目指す姿」を見せられればいい。技術戦術であり、競技に対する姿勢を示す舞台だと考える。

例えば競技への向き合い方という点にフォーカスすると、2012年ロンドン大会あたりから選手が「楽しみたい」と話し、メディアやファンもそのことを受容し始めた。そして、パリ五輪では、会場にいる柔道の選手たちがすごく楽しそうに見えた。30数年スポーツを観てきたが、初めての感覚だった。

4年後はそんな選手たちがさらなる成長を見せてくれるに違いない。その成長が一番大きな価値であり、それを味わうことこそがオリンピック・パラリンピックの醍醐味だと思う。

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