結露は当たり前に発生するものではない
なぜ、高断熱住宅に暮らすとこれらの症状が改善されるのかという理由は、医学的にはまだ立証されていないようです。ただ、一般的に指摘されているのは、結露との関係です。
図表2のように結露が生じると、どうしてもそこにカビが発生します。カビはダニの餌になるため、結露が発生する家には、アレルゲンが増加しやすいのです。
なお、「結露は仕方がないもの」と思っている方が意外に多いようです。当社は、昨年独自に、賃貸住宅に住む方を対象にした高気密・高断熱住宅のメリットに関する認知度把握を目的としたアンケート調査(有効回答者数562人)を実施しました。
その中で、「『高気密・高断熱住宅では結露がほとんど生じなくなる』ということを知っているか?」という設問で、「信じられない」と回答した方がなんと29%もいました。断熱・気密性能と結露との関係について知らない方が意外に多いことに驚きました。
一定以上の断熱・気密性能を確保すると、普通の暮らし方をしていれば結露は生じなくなります。そのため、高断熱住宅に転居すると、結露が生じなくなり、結果として、アレルギーや喘息の症状が出なくなるようです。
日本の断熱性能は先進国でも最低レベル
ちなみに、欧州では「建築物理学」という日本では聞かれない専門分野があります。この建築物理学の基本的な考え方の一つに、「結露を引き起こすのは誤った設計であり、人の健康を害する瑕疵である」いう考え方があります。
そのため、新築住宅で結露が生じると施工者は責任を問われるのだそうです。日本よりも寒く、結露が生じやすい気候の国々で、結露は生じてはならないのですから、住宅の断熱・気密性能がとても高いレベルで要求されていることがおわかりいただけると思います。
そもそも、日本の住宅の性能、特に断熱・気密性能は、他の先進国に比べて、非常に低い水準にとどまっています。これは、専門家の間では常識なのですが、多くの方はそのことを知らず、むしろ日本の住宅性能は優れていると思っているようです。
わかりやすいのは、窓の性能です。窓は、住宅の断熱性能を決める重要な要素です。そのため、諸外国は窓の断熱性能に厳しい基準を定めています。
図表3のように、例えばドイツでは、U値(熱貫流率:熱の通しにくさを示す値。小さいほど高断熱)が1.3以下のサッシでないと使うことが許されません。
それに対して、日本は地域によって基準が異なりますが、6地域(東京・横浜・名古屋・大阪・福岡等の温暖地)の基準は4.65です。