東京・九段下の靖国神社で、入り口にある石柱と台座に落書きされているのが見つかった。「トイレ」を意味する中国語に似た字やアルファベットが書かれていたという。ノンフィクションライターの西谷格さんは「訪日中国人による落書き事件はこれまでも繰り返し起きてきた。何の努力や才能も必要なく、成功すれば中国で『英雄』として迎え入れられる。中国人にとって最小のコストで巨大なリターンが得られる極めて『お得なチャレンジ』になってしまった」という――。

中国SNS上では賞賛の嵐

靖国神社が、再び落書きされてしまった。19日午前3時50分頃、境内の石柱に落書きがあるのを神社職員が見つけ、110番した。落書きには黒いフェルトペンが使われ、画像を見ると

「厠所(トイレ)」
「狗屎(犬のクソ)」
「軍国主義 去死(軍国主義は死ね)」

と中国の簡体字で書いてあるように読める。靖国神社では5月にも同じ石柱に赤い塗料で中国人の男2人に「toilet」と落書きされたばかり。5月の事件同様、今回も落書きをしたと見られる人物はすでに中国に向けて出国したという。

「愛国チャレンジ」とでも呼ぶべき犯罪行為だが、中国のSNS「微博(ウェイボー)」を見ると前回同様、落書き犯への賞賛の声で埋め尽くされている。

「勇気があって尊敬する!」
「素晴らしいと言わざるを得ない」
「まさに英雄」

といったストレートな誉め言葉がまず目に止まる。

「素晴らしい! またやろう」
「落書きは簡単に消せるから、今度はノミで彫刻してやろう」
「毎日1回、あるいは毎週1回落書きをして、常に清掃中の状態にしてやろう」

といったさらなる犯行を期待するものや、

「便所に便所って書いただけじゃねえか」
「落書きではなく、正しい名称に『訂正』しただけです」
「小日本よ、そんなにカリカリすんな。作品のオリジリティーを尊重していただきたい」

など、落書きなんて大した問題ではないとあざ笑うようなコメントも目立つ。

「自作自演では?」「過ぎたことは根に持つな」

このほか、日本が戦後70年談話などで語ったことを、逆手に取るようなものもあった。

「日本人には未来志向の関係を目指してほしい。落書きはもう過ぎたことなんだから、過去のことを根に持たないでくれ」
「民族間の恨みつらみを根に持たないでいただきたい。昨日の出来事によって今日の中国人を責め立ててはいけない」

戦後70年談話で安倍晋三首相(当時)は「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」と語っている。起こった事象も時間的スケールもまったく異なるが、すでに時効が成立していると言いたいようだ。

このほか、

「これ、日本人が自作自演で落書きして、善良な中国人にその罪を着せようとしているんじゃないのか?」

という中国人は無関係との説を唱えるものもあった。

「なぜ靖国神社が落書きの対象となるのか、日本はよく考えなくてはいけない」

という意見も根強い。