“夢の半導体”が実用化すれば「半導体大国」復活へ
わが国にもCXLの実用化に取り組む企業はある。国内の通信・電機メーカーは連携してCXLを用いて“光半導体”とCPU、GPUを結合し、超高速のデータ処理を可能にするユニットの開発を進めている。光半導体は、電子を用いた既存の半導体のデータ転送スピードを、別次元に引き上げる“夢の半導体”とも呼ばれる。
仮に、光半導体を用いたAIチップを国内企業が実用化すれば、その生産をラピダスやTSMCの国内工場が担い、わが国の半導体産業が世界トップレベルの競争力を回復する可能性は高まるかもしれない。
今後、米国の労働市場の緩やかな鈍化、米欧の社会分断などで世界経済の下方リスクは拡大する可能性は高い。一方、サムスン電子やTSMCはCXLなどの需要を取り込むため、需要の拡大期待の高い分野で設備投資を積み増すだろう。
わが国の企業にとって先端分野での研究開発、製造技術向上の必要性は高まっている。CXLなど新しい半導体関連技術開発をきっかけに、重要性の低下した資産売却などを急ぐ企業は増えるだろう。それは、中長期的なわが国経済の成長に必要不可欠の要素だ。