4割のマンションで修繕積立金の増額ができない
修繕積立金の増額については、図表4にあるように、「計画通りの額まで増額できた」とするマンションが59.4%あるものの、「引き上げはできたが計画通りの額までは増額できなかった」とするマンションも26.4%に達している。なかには、「増額したかったができなかった」マンションも3.6%存在する。
予算不足が解消されないと、計画通りに修繕計画ができなくなるので、計画の一部を先送りしたり、削減するしかなくなる。結果的には、マンションの老朽化が進むことになり、居住性が低下して、資産価値も下がってしまう可能性が出てくる。
そうなると、マンションの老朽化が一段と進み、スラム化する前に売ってしまおうと、マンションから出て行く人たちが増加する。老朽化しているとすぐに次の入居者、購入者が見つからないので、ますます修繕積立金が集まらなくなり、スラム化がいっそう進行、負のスパイラルに陥ってしまう。
管理費や駐車場料金の値上げも避けられない
マンションのランニング・コストとしては、諸物価、人件費の高騰などの折り、マンションの管理費や駐車場料金の値上げなども避けられない。
家計を考慮して車を手放してしまえば、駐車場料金の負担は無くなるが、マンション全体としては駐車場からの収入が減って、修繕積立金への算入額が減ってしまうというジレンマに陥る。
また、かつては、管理費の割合に管理の内容が行き届いていないと、管理費を下げるために管理会社を差し替えるリプレースを行うマンションが多かったが、最近はその逆で、管理費内では満足な管理ができないと、管理会社が委託料の引上げを求めるケースが増えている。受け入れられないと、管理委託計画の更新を拒否するケースが増えているといわれ、管理費もこれまで以上のピッチで上昇していく可能性が高まっている。