睡眠の質を上げてくれる「温活」とは何か。上級睡眠健康指導士の角谷リョウさんは「人は体温が下がるにつれ寝つきやすくなり、上がることで目覚めやすくなる。そのリズムに従う温活を取り入れ、体温が放出されるタイミングで寝るのが快眠の秘訣」という――。

※本稿は、角谷リョウ、サトウ未来『働く女子のための睡眠革命』(光文社)の一部を再編集したものです。

目覚めた後にベッドで伸びる若い女性
写真=iStock.com/dangrytsku
※写真はイメージです

睡眠圧を強めるとぐっすり眠れる

「歩いたほうが健康にいい」のはわかっていても、実行に移すのは難しいものです。

車移動が当たり前の地域では、うっかりすると「1日に歩く量が1000歩以下」なんてことも……。そう、強く意識しないと歩かないのですよね、私たちは。

人間は長く起きていたり活動したりすることで、睡眠物質がたまっていきます(睡眠圧)。この「睡眠圧」を強める=ぐっすり眠れる、ということ。ですから、日中にしっかりと活動しておくことが大事です。

といって、ここでいきなり筋トレやジョギングをおすすめされたって、絶対やる気にならないですよね(笑)。でも「歩くだけ」なら? どうせ毎日、家と職場を往復するとしたら、その際に歩くことで歩数を稼ぎましょう。

歩く“だけ”なんて言ってしまいましたが、日ごろロクに歩いていない人が習慣化したら、体に与えられるインパクトはそうとうなもの。それに、ふくらはぎは“第2の心臓”と呼ばれるほどのポンプ機能で体に血液を送り、めぐらせる働きをもっていますから、歩くだけで血流がよくなり、体温もアップ! といいことずくめです。

特に朝の光を浴びながら歩けば、セロトニンも分泌されます。通勤中、いつもより手前の駅やバス停で降りて歩きましょう。まずは「これまでよりもちょっと多く歩く」ことから始めて、快眠のためにはいずれ「1日7000歩」を目安にしたいですね。

セロトニンの分泌を促す「リズム運動」

とはいえ、セロトニンを出すために、筋トレやジョギングなどのハードな運動がマストなわけではありません。

もちろん、それらが好きなら積極的に行ってほしいですが、もっとラクな運動でもセロトニンは分泌されるとわかっているからです。

それすなわち「リズム運動」。

一定のリズムで動作をくり返す運動のことです。

「運動」と聞くと激しく動くイメージかもしれませんが、じつは「歩く」もそのひとつ。「散歩する」「階段を上る」「自転車をこぐ」など、身近な動作も立派なリズム運動です。

意外なところでは「よくかむ」や「貧乏ゆすり」まで!

いかがでしょう、このくらいのゆる~いレベルなら、「やってもいい」と思えるのではないでしょうか?