多様な働き方・生き方をしている女性のつながり

飽くなき挑戦は終わらない。新たな目標を見出し、成し遂げるために全力を注ぐ中本さんのバイタリティにはいつも感心させられてきた。そのなかでも、消費者相談窓口への異動の理由とともにこの時聞かされた、さまざまな雇用形態で、既婚か独身か、子どもの有無にかかわらず、多様な働き方、生き方をしている女性たちの「ヨコ」のつながりを広げ、ともに問題解決に向けて考え、支え合っていこうというネットワークづくりには、良い意味で意表を突かれた。

均等法第一世代として総合職で社会人の第一歩を踏み出しながらも、理想と現実のギャップに苦悩してわずか数年で辞職。長いブランクを経て再就職し、同じように家庭との両立をはじめ、自身のライフスタイルに思い煩う女性たちと触れ合いながら課題を見つけ、できることから少しずつ、でも着実に壁を乗り越えてきた。そんな中本さんだからこそ、実現し得ることなのではないか。そう痛感した。

この女性たちのネットワークを立ち上げた時点では、メンバーは20代から、上は中本さんと同じ50代前半までだったが、やがて齢を重ね、「定年女性」も仲間となっていくのである。

働く女性たちのネットワークから発信される問題提起や改善策などは、中本さんが指摘したように共感を呼び、開始から数年でみるみるうちに女性たちの輪は広がりを見せた。当初は不定期で年に1、2回の開催だったセミナーも、ほぼ月1回のペースで開くまでに増えた。体験談のほか、キャリアコンサルタントや社会福祉士などの資格を持つメンバーが手弁当で講演し、日々職場や家庭で抱える不安や悩みなどについて個別に相談に乗るブースを設けるなど、中身も充実させていった。