「子育ては他人事」ではない
希望はある。
兵庫県明石市で今年3月まで市長を務めていた泉房穂氏は、在任中の10年の間に、子供関連の予算を2倍以上、人員を3倍以上に増やすことに成功した。
泉氏もまた、「子どもの予算を確保するには、高齢者の予算を回すしかない」(泉房穂『社会の変え方』ライツ社、2023年)と思い込んでいたのだが、実は、そうではなかった。
泉氏は「高齢者から削らずにお金をつくり、新たな子ども施策を実施していきました。子どもへの支援は子育て層だけでなく、まち全体へとプラスの効果が及びます。地域経済が回り出し、税収増にもつながる。結果、高齢者施策の充実にもつながります」(同書)という。
少なくとも、「子育ては他人事」といった意識を変えるだけでも、事態は大きく変わるのではないか。
新幹線や飛行機で子供の泣き声にイラついた私もあなたも、まずは、行き先の自治体が、どんな子育て政策をしているのか、見直してみよう。まずは他人事ではなく、自分のこととして子育てを捉え直す絶好の機会になるに違いない。
(*1)「保育園落ちた日本死ね!!!」はてな匿名ダイアリー、2016年2月15日
(*2)「『保育園落ちた日本死ね』から7年…『学童落ちた』SNSに投稿相次ぐ “留守番の練習”を提案する自治体も」TBS NEWS DIG、2023年3月8日配信
(*3)「こども政策の推進(こども家庭庁の設置等)」内閣官房ウェブサイト
(*4)「子育て支援に充てるはずが…80歳への『祝い金5千円』廃止案を否決」朝日新聞デジタル、2023年3月18日配信
(*5)「令和5年度一般会計予算歳出・歳入の構成」財務省ウェブサイト