3つの習慣で「音疲れ」から逃げる

実は、私は歌手として音楽業界にも身を置いています。録音スタジオにいると、本当に身体も神経も「音」で疲れます。

音楽業界ではみんな経験していることで、これを「音疲れ」と呼んでいます。ラジオのDJやライブハウスの従業員など、仕事で音と日常的につきあっているプロは、自分の耳を上手に休ませています。

ヘッドホンを着けていて、疲れで聴力がおかしくなっているなと気づいたら、片側だけ外すなどしています。音疲れする環境にいる人は、自衛することが必要なのです。

「疲れ耳」にならないように、気をつけてほしいことは基本的に次の3つです。

・音にさらされる環境から離れて、耳に「音疲れ」させない
・酷使した耳は、きちんとリセットする
・耳をビックリさせない

まず、騒音の中に身を置いている人は、できる限り自衛しましょう。音にさらされる環境から離れてください。

危ないのは閉鎖空間

たとえばコンサートに行くときには、「コンサート用の耳栓(ライブ用耳栓)」をおすすめします。コンサートにも、静かなクラシック音楽から激しいロックまでいろいろありますが、激しいタイプは音の大きさレベルが違うので、騒音曝露としては大きいほうです。カラオケでも、この耳栓をしてほしいと思います。

サッカーや野球などの試合でも大きな音や声が聞こえますが、野外なら音が逃げるので、あまり心配しなくていいでしょう。

危ないのは閉鎖空間で、耳全体を音が覆ってしまうような環境です。ですから、長時間、音が抜けていかないコンサートやカラオケなどでは、スピーカーから離れて座るなど、身を置く位置にも気をつけてください。

また、仕事中にラジオや音楽をBGMにするのもやめたほうがいいでしょう。「聞く」という神経を使っていることになるからです。

といっても、「ちょうどいい雑音」として流している程度なら大丈夫です。静寂だと逆に気が散ってしまう人もいて、雑音の中のほうが集中できることもあります。雑音は逆に人間の神経を集中させるので、仕事に神経が行っているなら、問題はありません。

耳の模型を持って説明をする医師
写真=iStock.com/Chainarong Prasertthai
※写真はイメージです

耳の疲れは、そのつどリセット

耳の神経は消耗品です。使えば使うほど、神経は消耗します。酷使した耳は、休ませてリセットさせてください。

たとえば、リモート会議のあと、すぐにヘッドホンで音楽を聴くのはやめて、いったん耳の神経を休ませましょう。あるいは、2時間クラシック音楽を聴いたり、2時間ドラマを見たりしたら、少し静寂に身を置く時間を必ず持ってください。そういう、ちょっとしたことで、耳の疲労度はまったく違ってきます。

特に夕方以降の耳の神経は疲れているので、寝る前などに音の大きな音楽を聴くのはあまりおすすめしません。逆に、無音のホッとした時間を堪能してください。