あなたが顔の両横に搭載しているエンジンである耳は、とても精巧なつくりで、とてもよくできています。それでも時間とともにだんだん傷んでくることは避けられません。車のエンジンもそうですよね。
車にダメージを与えるのは「空ぶかし」です。もちろん空ぶかしをしたからといって、すぐに車が壊れるわけではありません。ですが、毎日のように空ぶかしをしていたら、エンジンの寿命は短くなります。実はあなたの耳も、気づかないうちに「空ぶかし」のようなことをしているのかもしれません。
たとえば「イヤホン」です。耳に入れるタイプのイヤホンでないと音楽を聴いている気がしないという人も多いのですが、そうやって音楽を聴いていることが、まさに空ぶかしです。身体のエンジンが傷み、やがて「騒音性の難聴」になってしまいます。耳の神経が摩耗するからです。
車のエンジンと同じように、身体のエンジンもメンテナンスが必要です。といっても、頑張って何かしなければいけないわけではありません。車の「空ぶかし」のようなことをせず、適切に動かしていればいいだけです。
肌をケアするように耳もいたわってほしい
どんな人でも、歳をとれば必ず耳も老化します。DNAに書き込まれた難聴に向かって、人間の細胞のエイジングは必ず進んでいき、ほうっておけば誰でも難聴になります。
若い頃のスキンケアを怠ると肌の老化も早くなってしまいますよね。まだ難聴になっていないうちに耳のセルフケアを始めれば、難聴の予防になり、発症を遅らせることができます。
「聞く」「話す」に直結する耳は、「コミュニケーションの要」だといっていいでしょう。ためしに1時間くらい、耳を塞いで過ごしてみてください。楽しくないはずです。
テレビを見ても音声が聞こえないし、話しかけられてもわからないから適当に返事をします。すると会話が広がらないので、相手は話しかけてこなくなります。難聴は、たとえ程度が軽くても、コミュニケーションに影響してしまうものなのです。
「まだ若いからピンとこない」
「耳が遠くなったら、対策します」
「将来は補聴器ももっとよくなるだろうし、その時はその時」
と思っている人も、耳が疲れ過ぎないようにいたわってあげてください。
耳は「自分を突き動かす身体のエンジン」だと思って、日々耳を大切にしていただきたいと思います。