今後、一段と株価が下がる展開もあり得る
そうした変化が鮮明化すると、人手不足に対応するために賃金を積み増した飲食や宿泊などサービス業界にも、採用の凍結や人員削減の機運は波及する恐れがある。AI業界の成長期待が先行したものの、AI分野でリストラが増え米国の労働市場全体として軟化傾向が顕著になる展開が予想される。
株価は、基本的にGDP成長率と連動する。個人消費の減少によって米国のGDP成長率の低下懸念が高まると、ナスダック総合指数をはじめ米国株式市場の調整圧力も高まるかもしれない。
8月上旬時点で、ナスダック100インデックスの株価収益率(PER、予想ベース)は約28倍とかなり高い。設備投資が増える一方でAI企業の収益化に時間がかかるとの見方から、GAFAMなど先端企業の業績予想を切り下げるアナリストも増えそうだ。リストラなどをきっかけに米国経済の後退の不安が高まると、今後、一段の株価下落の可能性は否定できないだろう。