お墓参り習慣のある子はない子より他者を思う気持ちが強い

別のデータもある。子どもの供養経験と「やさしさ」との関連性について。線香や香の老舗である「日本香堂」(東京都)は2015年、“尾木ママ”こと教育評論家の尾木直樹さんの指導・監修で「子ども達の『供養経験』と『やさしさ』の関係性」を調査した。

そこでは全国の中学1年生〜高校3年生の男女1236人を対象にして、お墓参りする頻度を年に「1回以上」「1回未満」に分けている。その上で、「他者への冷淡さ」を否定する割合を弾き出した。すると、以下のような結果がでた。

※「そうではない」「どちらかといえばそうではない」と答えた率の計

「誰かがその人の悩みについて話す時、『そんなの知らないよ』と感じる」

年1回以上――54.1%
年1回未満――44.6%

「誰かが私にトラブルについて話す時、私はたいてい聞き流している」

年1回以上――47.4%
年1回未満――40.0%

「私はたくさんつらい経験をしている人を避けようとする」

年1回以上――41.3%
年1回未満――33.8%

「打ちのめされたような人に対して、私は冷たいことがある」

年1回以上――35.4%
年1回未満――29.4%

鵜飼秀徳『絶滅する「墓」 日本の知られざる弔い』(NHK出版新書)
鵜飼秀徳『絶滅する「墓」 日本の知られざる弔い』(NHK出版新書)

これらの結果からは、定期的にお墓参りをしている子どもは、お墓参りの習慣のない子どもよりも、利他的行動を取ろうとする傾向があることがわかる。

お墓参りの形式は自由。お墓を洗い清め、線香と蝋燭を灯し、数珠をかけて手を合わせる。心の中で故人と対話をしてもよし、無心に手を合わせてもよし。経本があれば、短いお経(般若心経など)を唱えていただきたい。不思議と、心が落ち着いてゆくことだろう。

お墓が遠くにある人は、居住地の近くのお寺や神社で、遠く離れた故郷を思い浮かべながら、手を合わせる(遥拝)という行為も同様の効果がある。あるいは日常的に仏壇や遺影に手を合わせる行為も、「心のデトックス」には極めて効果的だ。

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