3位 サニブラウン・アブデル・ハキーム(25・東レ)男子100m、男子4×100mリレー

2017年のロンドン世界選手権200mで史上最年少(18歳5カ月)の決勝進出を果たした稀有な才能を持つ。2019年5月に100mで9秒台に突入すると、翌月には9秒97の日本記録(当時)を樹立。東京五輪はヘルニアによる腰痛に苦しんだが、一昨年のオレゴン世界選手権100mで日本人初の決勝に進出して7位入賞、昨年のブダペスト世界選手権100mは日本勢最高順位を更新する6位に入った。パリ五輪で決勝進出を果たせば五輪の日本人では92年ぶりの快挙となる。日本記録(9秒95)は「ただの通過点」という認識で、本人は真剣に「メダル」を狙っている。今季は課題にしていたスタート部分が大きく進化。もともと後半に強さを発揮してきただけに、遅れ気味だった前半でスムーズな加速ができれば面白い。それから4×100mリレーの走りにも注目だ。「ラーメン」が大好物で、睡眠時間は長いタイプ。「マイペース」な性格は世界の舞台でも物怖じしない強さがある。男子100m(予選3日18:45/準決勝5日03:00/決勝5日04:50)、男子4×100mリレー(予選8日18:35/決勝10日02:45)

2位 泉谷駿介(24・住友電工)男子110mハードル

男子のトラック種目で最もメダルに近い選手だ。高校時代はインターハイの八種競技で優勝。順大時代は跳躍ブロックで練習を重ねながら、110mハードルで独自の進化を遂げた(※走幅跳びと三段跳びでも日本トップクラスの記録を持つ)。東京五輪は日本勢で57年ぶりの準決勝に進出すると、ブダペスト世界選手権で5位。この種目の日本勢では初入賞だったが、スタート前に脚がつりかけており、本人は納得していない。決勝で最高のパフォーマンスを発揮できれば、歴史を塗り替えることになるだろう。大学の後輩に当たる村竹ラシッド(JAL)も上位候補。昨年9月に泉谷が保持する日本記録(13秒04)に並んでおり、複数の日本人選手が決勝の舞台に立つのも夢ではない。なお泉谷は幼少期の「野菜嫌い」を克服。その都度、「好きな種目」を楽しくやってきたことで、五輪のメダルを狙えるアスリートに成長した。(予選4日18:50/準決勝8日02:05/決勝9日04:45)

1位 北口榛花(26・JAL)女子やり投

高校時代から異次元のパフォーマンスを披露。2019年からチェコ人コーチの指導を受けるようになると、課題だった助走が大きく成長した。2021年の東京五輪は日本勢として57年ぶりに決勝進出を果たして、翌年のオレゴン世界選手権は銅メダルを獲得。昨年はブダペスト世界選手権で最終6回目の大逆転で金メダルに輝いた。さらに自身が持つ日本記録を67m04まで伸ばして、日本人初となるダイヤモンドリーグの優勝も経験した。今季も5月のセイコーゴールデングランプリで逆転Vを飾るなど、勝負強さは健在だ。とにかく最終投てきが強く、笑顔がチャーミング。日本勢は女子のフィールド種目で五輪のメダルは一度もないが、金メダルを期待せずにはいられない。チェコ人コーチが試合中に「ハイチュウ」を食べて緊張をほぐした姿が話題になったこともあり、森永製菓とサポート契約を締結。『inゼリー』や『inバープロテイン』だけでなく、『ハイチュウ』を含む菓子の提供を受けている。決勝は日本時間11日(日)の2時40分から。夜食用の『ハイチュウ』を用意して、応援しよう!(予選7日A17:25、B18:50/決勝11日02:40)

なお、ランキング圏外だが、東京五輪で入賞を果たしている男子走り幅跳び(8月4日18時)の橋岡優輝(25・富士通)、男子マラソン(8月10日15時)の大迫傑(33・Nike)、女子マラソン(8月11日15時)の一山麻緒(27・資生堂)らも期待十分。金メダルを目指す 男子4×100mリレー(8月8日18時35分)の2走候補に挙がる栁田大輝(21・東洋大)、同3走候補の桐生祥秀(28・日本生命)の激走にも要注目だ。

また、日本が誇る美しい女性アスリートとして、女子走り幅跳び(8月6日18時15分)の秦澄美鈴(28・住友電工)、女子100mハードル(8月7日17時15分)の福部真子(28・日本建設工業)と田中佑美(25・富士通)らの雄姿も見逃せない。

日の丸を掲げる北口榛花
写真提供=共同通信社
陸上の世界選手権女子やり投げで金メダルを獲得し、日の丸を掲げる北口榛花=2023年8月25日、ブダペスト
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