自分が相手にどれだけ興味を持っているか

「その人ならでは」のオリジナル要素が伝わらないと、「なんでもいいのか!」「(私でなくても)誰でもいいのか!」と、ほめたつもりが相手は逆に腹を立てたり、わざとらしさに嫌悪感を抱いたりします。

「ほめられて、嫌な気はしない」とよく言われますが、ほめ方の上手・下手によって嫌な気持ちにもなれば、うれしい気持ちにもなるのが難しいところです。

「相手にしかできない理由」がすぐ見つかるかどうかは、自分が相手にどれだけ興味を持っているかによって変わってきます。あまり興味がない人を観察するのも、正直苦痛ですね。

「この人、きっとほめて欲しいのだろうな」と気づいていても、心の距離を置きたい人であれば、会話に入らずに、トイレなどを理由にそっとその場を離れるのもひとつの選択肢です。

興味がある人や、好意を持っている人ならば、ぜひ「相手にしかできないこと」を探してください。

ちょっとした仕草、さりげない雰囲気、何気ない言葉遣いや態度など、一見些細なことであればあるほど、「そんなところまで見てくれていたの?」と、あなたが気づいてくれたことがうれしくて、相手の気分は上がります。

「そこに気づいてくれていたの?」が生む感動

ある中小企業で、入社3カ月なのにもう退職を考えていた社員が、社長のあるひと言がきっかけで退職を思いとどまったケースがあります。

その社長のひと言は、次のものです。

「毎回シュレッダーのゴミを捨ててくれているよね。いつもありがとう」

このゴミとは、シュレッダーで細かくなった紙くずのことです。

シュレッダーのゴミ
写真=iStock.com/QShot
※写真はイメージです

このゴミを捨てるとき、紙くずが入ったビニール袋を箱から取り外す際に、細かい紙くずが袋から漏れてしまいます。落ちた小さい紙くずを集めるという、忍耐のいる作業が必要なのです。

季節が冬だと静電気でくっついて取れなくなったりして、かなりやっかいです。正直これが面倒で、ゴミ袋の交換を伝えるランプが点滅しても、紙くずをぎゅうぎゅうと押しつぶして、あと何回かもたせることで、自分がゴミを捨てなくていいようにしたことが私自身、何回もあります。

この面倒な作業を毎回やってくれていることを、社長はちゃんと見ていました。そして、その社員に感謝の言葉をかけたのです。

退職を考えていた社員は、社長がこんな「小さなこと」を見ていてくれたことがうれしかったのです。「この社長がいる会社なら、もう少しがんばってみよう」と、退職を思いとどまったのだそうです。