「今の子どもは驚くほど人との接し方が下手」

校長はつづける。

「今の子どもたちは、幼い頃から雑多な人間関係の中に身を置いていないので、人との接し方が驚くくらいに下手です。その場の空気を読むとか、相手の気持ちを考えるとか、言葉を選ぶといったことができない。

そのせいなのでしょう、友達と他愛もない話をしていても、簡単に『おまえ、雑魚でしょ』とか『はい、論破〜』なんて驚くような冷たい言い方をする。我々が『そういう表現はやめなさい』と注意しても、何が悪いのかという顔をしてきます。そんな言葉を使ったら相手がどれくらい傷つくかを考える力がないのです。

こうした悪い表現は子どもたちの間にすぐに広まります。それで子どもたちのマウント合戦は、知らないところでどんどん攻撃性の強いものになっていくのです」

加害者側が罪の意識を持っていなければ、それをやめようという意識にはならないだろう。

教室に飛び交うネットスラング

この他にも、先生たちからは、ネットで使われている言葉や表現が子どもたちのマウント合戦をエスカレートさせているのではないかという意見も上がった。

たとえば、「草」とはネット用語で「笑える」「ウケる」の意味だが、子どもたちは簡単に「こいつ、点数悪すぎて草」とか「マジで草」といった表現をする。ネット用語なのであからさまな悪口ではないが、言われた子どもは大きなショックを受けるはずだ。

また、一時期流行った「それってあなたの感想ですよね」も頻繁に使われている。発言する側は流行語を発しただけという認識だが、言われた側にしてみれば、対話を一方的に遮断されたと感じる。完全否定されたのと同じだ。

教室の中で、そんな言葉の応酬がくり広げられれば、子どもたちがアツを感じるのは仕方のないことだろう。