「pick up」は「ピックアップ」ではない。日本語にたとえれば「ピッカッ」などと聞こえる。「k」や「p」に母音はつかないからだ。音読は効果的な方法だが、自己流ではなく、必ずネイティブの発音を確認する必要がある。

さらに語源は、英語を面白く学習するうえでも、欠かせない。丸暗記が苦痛で、英語を苦手としていた竹岡さんが、英語にはまったのも、語源への理解が進んだからだった。

「『president』という単語は、『pre(前)』『sid(座る)』『ent(人)』と分解できる。『人の前に座っている』から、大統領や経営者という意味になる。『spring』という単語には『春』『ばね』『泉』といった意味がありますが、これは『飛び出す』が原義だからです。発音するとわかるように、爆発するような破裂音が入っています。『スプリング』と日本語で発音しても、本来の意味はわかりません」

さらに、竹岡さんも森沢さんと同じく、「反復」の重要性を指摘する。次々と新しい教材を試すような人は、いつまでも英語力は身につかないという。

「どんな教材でもいいんです。私の本には100の構文しか載っていませんが、徹底して反復するならそれだけでも十分なんです。英語は、国語や数学の部類ではなく、体育や音楽の部類。何度も反復させて、体に染み込ませていくものなんですよ」

つまり英語学習に近道はないのだ。

「TOEIC400点程度の人が900点程度までスコアを上げるとすれば、毎日2時間の学習で最低2年は必要だと考えてください」(森沢氏)

六ツ野英語教室 主宰 
森沢洋介 

1958年生まれ。大学入学後、独自のメソッドで、日本を出ずに英語を習得。予備校講師などを経て、現在は浦安市で教室を運営。著書に『英語上達完全マップ』『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』など。


竹岡塾主宰 駿台予備学校講師 
竹岡広信

1961年生まれ。京都大学工学部、同文学部卒業。在籍中、実家の塾で英語講師に。洛南高校などでも講師を務め、「英作文の鬼」との異名を持つ。漫画『ドラゴン桜』のモデルの1人。NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」にも登場した。
(小原孝博、市来朋久=撮影)
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