東京都には「ペット条例」がある
③条例について
地方自治体によっては、ペットが他人の生命、身体に害を与えるのを防止し、人とペットが共生するために、ペットに関する条例を設けている場合があります。
例えば、東京都では、「東京都動物の愛護及び管理に関する条例」(以下「ペット条例」といいます)において、飼い犬が人の生命又は身体に危害を加えた場合には、適切な応急処置及び新たな事故の発生を防止する措置をとるとともに、その事故及びその後の措置について、事故発生の時から24時間以内に、知事に届け出なければならないものとされております(ペット条例第29条第1項)。
そして、かかる届出を怠った場合又は虚偽の報告をした場合は、拘留又は科料に処せられる可能性があります(ペット条例第40条第1号)。
「噛みついていない」けれど2000万円超えの損害賠償
3 噛みつかなかった場合でも多額の損害賠償責任が生じることも
損害賠償責任が生じてしまうのは噛み付き行為による場合には限られません。
例えば、犬とボール遊びをしていた際に、誤って犬が他人にぶつかって怪我を負わせてしまった場合でも損害賠償責任が生じる可能性があります。
実際に、公園でボール遊びをしていたゴールデンレトリーバーが女性の右下肢に衝突し、転倒させ、後遺障害10級の後遺障害を負わせてしまったことで、その飼い主は合計2000万円超えの損害賠償責任を負うこととなった判例があります(東京地判平成14年2月15日)。
また、リードを繋いでいたものの、飼い犬が突然前足を上げたことで、噛みつかれると誤解した女性が後ずさりして逃げようとして足がもつれ転倒し、その場に尻もちをつき、骨折してしまい、これにより糖尿病昏睡に陥り死亡してしまったという事件で、その飼い主は療養費や、慰謝料、葬儀費、弁護士費用の一部の賠償義務を負っています(松江地浜田支部判昭和48年9月28日『判例時報』721号88頁)。