夜中の1時でも!お客にワオさせよ

その疑問に答えるのがリッツ・カールトンならではの従業員への大幅な意思決定の権限委譲である。

(写真右より)ゲストレコグニション足立麻衣子さん、チーフコンシェルジュ住吉真矢子さん。「外国のお客さまが1日で『日本』を体験したいときは、名所旧跡が集中する立地とアクセスのよさから、鎌倉をオススメしています」(住吉さん)。

「たとえば夜中の1時にプールに入りたいというお客様がいらっしゃれば、従業員は上司の許可をとらずにプールを開けることができます。閉店後のレストランでも同じです。

これは東京に限らず、リッツ・カールトン・グループ全体に共通していることですが、『お客様の喜ぶことであれば、すべての従業員が上司の承認を得ずして行動してよい』という文化が我々にはあるんです。

すべてはお客様の目線から見てシンプルにすること。決して物事が複雑になってはいけないんです」

たしかにそれならば、客は自分の願いが速やかに聞き届けられることに深い満足を覚えることだろう。

だが、それだけ自由な権限を従業員に与えることに対する不安はないのだろうか。なかには暴走してしまうスタッフもいそうなものだが。

「それは実際にやってみればわかります。この場合、プールを開けなかった場合のリスクに比べれば、1人の判断でプールの扉の鍵を開けることのリスクのほうがはるかに小さい。『上司に聞いてきます』とお客様をお待たせすることの意味はどこにあるのでしょう」