有力企業との取引き、提携を成功させる

【TECHNIQUE】外部ネットワークをうまく活用せよ

ベンチャー企業が大企業とアライアンス(提携)を組むことは通常困難です。大企業から見るとベンチャー企業の信頼性がわからないからです。

そういう場合は、大企業の経営層と人脈を持っている人をうまく活用するのがいいでしょう。すでにリタイアした方たちを含め、若い人や会社の役に立ちたい意欲を持つ人はたくさんいます。

「信頼のおける○○さんの紹介」で来た人と、飛び込みで来る人では信頼性が異なります。もちろん飛び込みでも100回訪問すれば会ってもらえるようになり、信頼を勝ち取れる可能性はあります。私も「社内で何とか頑張って説得してきます」と言ってくれる。やがて彼ら彼女らが出世すれば、強力な人脈となります。業界の有名人やキーマンと付き合うべきという意見もありますが、自分を押し殺して付き合っても長続きしません。

では、どうやって社外の人たちと結びついていくか。私がお勧めしているのは、自分のプラットフォームをつくることです。具体的には異業種交流会や勉強会など、業界を超えてさまざまな人が集まれも昔、そうして成果をあげたことがありますが、効率的ではありません。

では、どうやって紹介者のネットワークに自分たちがつながっていくか。紹介してもらうためには、紹介者のスクリーニングをクリアできなければなりません。

そこで問われるのは、ビジョンです。規模にかかわらず、ビジョンのない会社や組織は少なくありません。ビジョンに合ったビジネスに特化しアライアンスを訴えていくのです。それが成長性のあるビジネスで、かつ大企業が自社では手がけない領域であれば、大企業にとって魅力的な相手となります。

大企業だからこそできないこと、困っていることはたくさんあります。例えば小売業者が自社店舗と競合するeコマースを手がけるのは難しいし、大手企業がSNSをいきなり手がけたら「出会い系」として社会的批判を浴びる可能性があります。そうした大企業の悩みに焦点を当て、大企業の戦略に則った形でアライアンスを提案することは大いに可能性があると思います。

交渉の際に必要となるのは、先に述べたプラットフォーム戦略思考です。参加者全員が成功できるプラットフォームをつくり、エバンジェリスト(伝道者)となってビジョンを伝えていくことが重要なのです。

最後に勝負を決めるのは、ビジネスにかける当事者の「情熱」です。私は「同志化」と呼んでいますが、参加者全員が情熱や想いを共有し、会社という枠を超えてプロジェクトを推進することが信頼関係構築の鉄則です。