「非正規雇用の中身」をはき違えていた

なぜ、こんなことになったのか?

理由は簡単だ。「非正規雇用の中身」を大いにはき違えていることが主因に他ならない。

2009年の政権交代から15年を経た令和の現在まで、非正規雇用数は増え続け、その数は2100万人をも上回る(2124万人、労働力調査2023年)。

通勤時間帯の横断歩道を渡る人々
写真=iStock.com/ponsulak
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ではこの内訳はどうなっているだろうか? 労働力調査の発表フォームが今よりもよくわかる形態だった2018年の詳細集計から見てみよう(2018年の非正規雇用数は2120万人と直近とほぼ変わらない)。

全非正規雇用者2120万人、うち学生(就学中)218万人なので、社会人は1902万人となる。これを男女に分けると、男性565万人、女性1336万人と圧倒的に女性が多いことがわかる。社会人女性の非正規雇用者を婚姻状況で見ると、既婚1113万人、未婚223万人となる。

これが第一の結論だ。非正規の過半数は「主婦」なのだ。

就職氷河期の非正規は他の世代と比べて少ない

続いて、社会人男性の非正規雇用者を年齢別に見てみよう。こちらは、定年後の再雇用で非正規となるケースが多いため、55~65歳146万人、65歳以上186万人とシニア層で全体の6割を占める。

ちなみに、「就職超氷河期世代」の非正規は、世に言われるほど多くはない。2018年データで振り返ると、氷河期にあたる35~44歳は男性非正規63万人、45~54歳は59万人であり、シニア世代はもちろん、25~34歳(78万人)に比べても少ない。

この世代も女性非正規が圧倒的に多く35~44歳で303万人、45~54歳358万人で計661万人と男性の6倍に迫る。そしてもちろん、そのうち主婦が585万人で、女性非正規の9割近くを占める。氷河期世代問題を叩いてみたら、何のことはない女性問題であり、それは性別役割分担の影響とわかるだろう。