私が25年以上続けた“昼寝”で資産1.8億円を築けた理由

ケース1:個人投資家 桶井おけい どん
主な投資先は世界30カ国の高配当株や増配株、ETF、REITなど。会社員時代に1億円をつくれた秘訣は、「労働+節約+貯金+投資」と「睡眠」。「投資の種銭を作るためコンビニ禁止、飲み物はマイボトル」を徹底。

「大谷(翔平)選手が体現しているように、睡眠は、人生や仕事のパフォーマンスを大きく左右すると思います」

個人投資家の桶井道さんは大卒後、会社員として働きながら投資を25歳から始めた。47歳までに積み上げた資産は1億円を突破し、FIRE。その後の4年間で資産はさらに急上昇して、今では1億8000万円超に……。

【図表】ブレない長期の分散投資でコツコツ。昼寝で体をケアしながら資産UP

「資産をここまで何とか構築できた大きな要因のひとつ、それは昼寝です。私はロングスリーパーで夜の睡眠も大事にしましたが、会社員時代から昼寝も日課にしていました」

会社員時代、昼食後は休憩スペースで約30分間、壁にもたれたり、机に伏せたりして必ず仮眠。周囲にも同じような同僚が多かったそうだ。寝ないと心身の疲労感で午後の仕事に支障をきたすから、うまく眠れなくても目を閉じる。それだけでも回復したという。季節に応じて毛布やひざ掛けも使用した。

そうした昼寝習慣が投資にどのような影響を与えたのか。

「私の投資法は、マーケットの日々の細かい動きに合わせて売買を繰り返して儲けるものではなく、会社員当時も今も日本株の高配当株や増配株などに分散長期投資するスタイル。株を買うのは月1回程度でしたが、何を買うのか正しい判断力が必須です。そのためには当然ですが、日ごろの銘柄研究が重要。通勤の行きと帰り、仕事終わりに投資の勉強をしますが、昼寝して脳の働きがいいほうが確実に精度やモチベーションは高まります」

なぜ、この株は配当が高いのかその理由を探り、その企業の事業は持続的に儲かるのか、市場は拡大しているのか。いつ株を購入すればいいのか。そうした理解・判断をするには、数字満載の年4回刊行される2000ページ超の会社四季報や投資関連の書籍、マネー雑誌を的確に読み込むことは不可欠なルーティンだ。

妥協のない投資のために「脳を休める」

また、定期的に参加する投資セミナーでの講師の話に対する理解。主要な投資信託商品や、投資対象として関心ある業界の分析……そうした膨大な質の高いインプットができるキレキレの脳でなくては、いいアウトプット(より値上がりし、リターンの高い銘柄などの購入)など望めない。

昼寝の投資への効果は「体力面」も無視できないものがある。

「この銘柄は本当に購入に値するのか、自分なりに納得するまで検証するには地道な研究が必要です。特に外国株の場合、外国語の投資情報も読み解きながら、最大限粘って検討する。昼寝することで、午前中に削られた体力が回復しますから、そういう緻密なプロセスを踏むことが可能なんです。もし寝ていなかったら、『これくらいでいいかな』と妥協が生まれる。眠気に甘え、判断が甘くなる。それは投資するうえで最もやっちゃいけないことです」

わずかな時間でも適切に体を休めることで体力維持・回復して、情報をより深く掘り下げ、長時間の妥協なき投資対策ができる。これも現在、「資産2億円」を視野に入れている桶井さんの一貫した流儀というわけだ。

実は、桶井さんは若いころから内臓の持病があり、体のメンテナンスをしなければならない。それに加えて、会社を退職した後は、両親の介護・見守りもしている(父親は難病で要介護5、母親はがんサバイバー)。現在も継続している昼寝習慣は、介護疲労を癒やす意味合いも大きい。自身の体力にも配慮しながら持続可能な投資環境をつくっていくためにも仮眠は有効的なのだ。

「FIRE後は、昼寝は毎日ではなくなりましたが、体やメンタルの疲れを感じれば昼寝をします。冬場は気軽に横になると風邪を引くので機会が少なくなりますが、それ以外の季節は気軽に横になれます。今くらいが絶好の昼寝シーズンです」

資産のほかに、桶井さんが得ている株の配当金は現在、年約200万円。それを60歳になる約10年後までに年300万円にするのが目標だという。