夫婦仲良く過ごすためには何が大切なのか。沖縄県の最北端、国頭村からTikTokを発信する大田吉子さん(90歳)は、22歳でお見合い結婚した夫と一度も大きな喧嘩をせずに暮らしてきたという。『90歳のおばーのゴキゲンなひとり暮らし 孤独を吹き飛ばして幸せに生きるヒケツ』(KADOKAWA)より一部を紹介する――。
手を繋いでいる老夫婦
写真=iStock.com/jacoblund
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お見合いだけれど、ずいぶんいい人だった

私は22歳のときに結婚しました。お見合い結婚でございます。

「吉子、大田のところの孝全と一緒にならんかね。孝全は立派な男だから、うちの家族の面倒も見ることができるよ」

と、叔母が見合い話を持って来たのです。それまで私は男性とお付き合いしたことがありませんでしたから、「一緒になる」ということがどういうことか、当時はまったくわかりませんでした。

けれど、そう言われると急に孝全のことが気になりだすのです。同じ村の住人で、お互いの存在はもちろん知っていましたけれど、歳が5つ違うのでそれまであまり交流もなく、どういう人かよく知らなかったものですから。

そこで、まずは孝全を数日間観察してみることにしました。孝全が働いているところに顔を出してみたり、帰り道にちょっと話しかけてみたり。そうしたらね、ずいぶんいい人なんですよ。

あの人は大工だったのですが、「とってもまじめに働くし、穏やかな優しい人だな」と思ってお付き合いを始めました。

言い寄ってくる人はいたけど、一度決めたら一人きり

内地の人からは驚かれますが、奥間には昔、結婚前に両親公認で、お見合い中の男女を同じ部屋に寝かせる風習があったのです。まぁ、相性を確かめるっちゅうことなんでしょうね。

うちの父も、実家の手伝いに来た孝全に「今夜一泊してかんか?」と言って、うちの奥座敷に私と孝全を一緒に寝かせてしまいました。

孝全はその日、うちの修理や大工仕事をしてくれて、姉の面倒も見てくれました。「優しい人だな」「なんだか素敵だな」なんてぽーっとして、私もなんとなくそのまま一緒に寝てしまい、長男がお腹に入りました。たった1回きりで。なかなかすごいでしょう!

私は子どもの時分から「私が家を守らなければならない」と考えていたので、男の人には父や母、家族を一緒に守ってもらいたいと思っておりました。

叔母が言ったとおり、孝全はまさにぴったり。口数は少ないけど、まじめに働いて、両親にも子どもたちにも優しい人でした。

実は私、こう見えて若い頃はなかなかモテましてね。言い寄ってくる人はけっこういたんですよ。かなりの男前もおりました。

でも私は昔から一度決めたら絶対曲げない性格ですから、孝全と決めた日からずっと、あの人ひとりです。