喧嘩したとき、「謝る」という一手間は必要ない

夫は、めったなことでは怒りません。

もちろん家庭を一緒に営んでいくうえで、口喧嘩することはしばしばありました。だいたいが「そんな言い方しないでよ」くらいの小さな言い合いでございましたがね。

私は基本的に、争いがあったらいつも自分から謝るようにしています。

ただし、夫婦間の問題はちょっと別です。謝る・謝らないではなく、反省したか・していないかが大事です。他人ですと、謝って歩み寄りますよね。そうして「あなたと一緒にいたい」という姿勢を見せることが大事です。

けれども、夫婦はそもそも家族というひとつの船を一緒に操っているわけです。この船は一度乗ったら降りることはない、これからも一緒にいるのが大前提、と私は思っていますから、夫婦間の場合、謝って寄り添うという一手間は省略しています。

夫が謝ったかどうかも気にしません。反省の態度が見られ、同じことを二度としないように心がけているとわかれば、口喧嘩しても仲直りできるのです。そして、夫婦がお互いに相手を日頃から尊敬しているかどうかも大事。夫は、大工仕事など私には到底できないことを難なくやってのけます。

沖縄県の国頭村からTikTokを発信している大田吉子さん(90歳)
画像提供=KADOKAWA
沖縄県の国頭村からTikTokを発信している大田吉子さん(90歳)。「南の島のおばーと孫」というアカウントで仕事風景やおしゃべりする様子を投稿しており、40万人のフォロワーをもつ名物インフルエンサーだ

一見どうでもいいことでも尊敬できる点を見つけて

一方、私だって夫ができない裁縫などをなかなか上手にこなせます。だからお互いのことを見て「すごいなぁ」と思うことが、日常にあるのです。そういう相手となら、ちょっと喧嘩してもすぐに反省することができると思いますよ。

え? 夫のことを尊敬できない奥さんもいる? まぁ、ずっと一緒に暮らしていたら、尊敬の念を忘れてしまうこともあるかもしれませんよね。でも、なにかひとつくらいあるでしょう? 声が大きいとか、力が強いとか、暗算が速いとか、一見どうでもいいことでもかまわないので、無理矢理にでも見つけてみてください。

きっと相手を見る目が変わって、いい関係を築けますよ。