あらゆる観点から「使い勝手がいい」HEV
HEVはBEVほどCO2削減には貢献しないが、使い勝手は通常のガソリン車と変わらず、価格上昇も限定的でBEVほど高価でなく、通常のガソリン車より大幅にCO2排出量を少なくすることができる。
つまりHEVは、多くの人に買ってもらうことのできる特性を持っており、数が増えればそれだけCO2削減効果は大きいのである。
PHEVは、充電しない限りHEVより大型のバッテリーを積んでいることが徒となってハイブリッド走行時の燃費がHEVより悪くなってしまうという欠点があるが、自宅充電ができる人であれば日常は自宅充電の電気だけで走ることができ、長距離移動時は充電の心配がないという、BEVより使い勝手に優れた選択肢だ。
HEVの技術は日本のメーカー、特にトヨタが圧倒している。2000ccクラスHEVの燃費(WLTCモード)を比較してみると、トヨタ・プリウスが28.6km/l、ホンダ・アコードが23.8km/l、BMW330e(PHEV)が13.4km/l(ハイブリッド走行時)、メルセデスベンツC350e(PHEV)が12.9km/l(ハイブリッド走行時)である。
プリウスはPHEVでも26.0km/lなので、ドイツ勢の半分の燃料で走ることができる。動力性能も優秀で、BMW 330eとメルセデスベンツC350eの0-100km/h加速5.9秒に対し、プリウスPHEVは6.7秒と大きく見劣りしない。
トヨタ、マツダ、スバルの新たなパワートレイン
今回のイベントでは、マルチパスウェイの正しさを強調するだけでなく、新しいパワートレインの発表も行われた。
マツダは2ローターのロータリーエンジンを発電機として使うシリーズハイブリッド方式を、スバルは水平対向エンジンにトヨタのシリーズパラレル方式を組み合わせたハイブリッドシステムを披露した。
それぞれのメーカーの個性を強調した、楽しみなユニットであるが、さらに、トヨタがまた一歩業界をリードするであろうハイブリッド用エンジンを発表した。
欧米の自動車メーカーはBEVシフトを急ぎ、新規ICEの開発は基本的に取りやめており、従来型のエンジンを継続生産している(BMWはICEの開発を継続していると発表している)。
ようやく2024年になってメルセデスベンツは新しいICEの開発を再開すると発表し、ルノーは吉利汽車と組んで新世代ICEを開発する会社を立ち上げたが、この間にもトヨタは新世代ICEの開発を積極的に続けていたのである。