資産はインフレに強い株、不動産、金に置き換える

自分のお金をインフレから守るためには、現金で保有するのではなく、インフレに強いとされる資産に置き換えていくことが肝心だ。インフレに強い資産といえば、株式、不動産、金(GOLD)あたりが代表的なものだろう。

持っている余裕資金の額が大きくても、あるいは小さいとしても、これからの時代を生き抜いていく人たちにとって、投資は必須だと言っても過言ではない理由がここにある。

インフレに強い資産を持つという観点では、株式や不動産、そして金が妥当なところだが、金利水準が高い今だと、米国国債も選択肢に入ってくる。米国の長期金利の指標である10年国債の利回りは、2023年10月19日に5%近くまで上昇した後、同年12月27日に3.7%台まで低下し、そこから再び上昇傾向をたどっている。2024年5月2日時点では4.63%だ。

米国国債なので米ドル建てだが、米ドル建てで年4.63%ものリターンが得られるのであれば、悪い話ではない。

しかも、世界で最も信用力の高い国である米国が発行している国債なので、ペーパー資産ではあるものの、紙切れになるリスクは、ほぼないと言ってもいい。とくに債券は、株式や金などに比べてボラティリティが低いので、相対的に価格変動リスクは小さくなる。資産をある程度分散させる時、一部に債券を持っておくと、ポートフォリオ全体の価格変動リスクを抑えることができる。

金にはペーパー資産にはないメリットがある

一方、金の最大のメリットは、価値がなくならないことだ。

米国国債がいかに世界で最も信用力の高い国が発行する債券だとしても、発行体である米国政府が絶対に破綻しないという保証はどこにもない。これがペーパー資産の最大の弱点で、発行体が元利金の支払いを滞らせてしまうと、「デフォルト」といって、債券の価値そのものが失われてしまう恐れがある。

この点、金はそれ自体に高い価値を有し、世界共通で認められているため、発行体の信用リスクからは完全に切り離されている。

金が注目される理由は、ほかにもある。それは米ドルを中心とした国際通貨制度、米国を中心とした金融システムから解放されたいと考える国が、少なからず存在しているからだ。

とくにBRICS諸国を中心とした新興国において、その傾向が強く見られる。

BRICS諸国の通貨を並べると、ブラジル・レアル、ロシア・ルーブル、インド・ルピー、中国・人民元、南アフリカ・ランドになるが、いずれも頭文字が「R」になる。ちなみに中国の人民元を英語表記すると、「Renminbi(レンミンビー)」なので、その頭文字はRになる。このことから、これら5カ国の通貨を「R5」などとも称している。