毎年10万戸ペースで急増する「空き家」問題

いま、空き家が増えています。総務省統計局が4月に公表した速報値では、全国に900万戸もの空き家があり、その数は毎年10万戸ずつ増えていることがわかっています。また空き家の割合は13.8%、まさに日本は空き家大国といえます。

空き家の中でも、特に所有者すらわからない空き家もあったり、なかには長年放置された管理不全空き家など、倒壊の危険性があったりする空き家も増えており、地方自治体も空き家問題には頭を抱えています。

そんな空き家が社会問題化している中で、空き家を使ってビジネスをする「空き家ビジネス」が静かなブームになっています。引き取った空き家を賃貸で貸す大家業、大きな古民家をシェアハウスとして活用する例もあります。また、インバウンド需要が戻り、地方でも外国人観光客が押し寄せるスポットもあり、民泊で運営する宿泊業なども空き家ビジネスの一例です。

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写真=iStock.com/Tsubasa Henmi
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「タダでももらいたくない」空き家がなぜ投資に?

通常、不動産投資を行う場合、銀行から多額の融資を受けて、アパートやマンションを購入します。家賃が入ってきても、銀行への返済や管理コストなどがかさみ、手残りは大幅に減ってしまいます。しかし空き家、それも所有者が「要らない」というお困り空き家を活用した投資手法では、物件取得費が0円またはそれに近い額で引き取れるため、初期費用が少なくて済みます。

もちろん、土地と建物が0円であっても購入にかかる諸経費、例えば登録免許税や不動産取得税、火災保険料、不動産会社への仲介手数料などが家一軒当たり30~50万円程度かかります。それでも一般的な不動産投資と比較すると初期費用は抑えられるため利益率が非常に高い投資となります。総投資額が数十万円程度となるため、銀行からの融資に頼る必要もなく、そのため元本の返済や金利負担すら必要な低コストで安全です。

一方で激安の空き家を取得すると、内装や外装がボロボロの場合もあり、リフォーム等の修繕が必要となるケースもあります。また引き取った空き家の室内には旧所有者や古い住人の荷物などが残っている場合もあります。これを残置物といいます。

不動産の本体(土地や建物)を0円でもらったとしても、こうしたリフォームや修繕、残置物の撤去などに多額の費用がかかるようでは意味がないと思われることでしょう。

私の投資手法では、リフォーム費用はほとんど使いません。どうするかというと、入居者さんにDIYでリフォームしてもらうことを選択するのです。この方法であれば、残置物の撤去すら必要なく、入居者さんに修繕や処分はすべておまかせしています。そんなことが可能なのか? と思われることでしょう。実際の事例で説明します。