新NISA開始から約5カ月。気になりながらも静観している投資初心者が、本気で始めるならどうすればいいのか。会社員時代から節約し、給料から種銭を作って投資を始め、現在は資産1億8000万円超の個人投資家・桶井道さんは「新NISAで軌道に乗る人、頓挫する人の差は始める前の心構えで決まる」という――。
個人の意思決定の概念
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新NISAブーム、踊らされる人と自分の軸を持って始める人の差

今ほど投資が賑わったことがかつてあったでしょうか。投資メディアだけではなく、写真週刊誌やテレビのバラエティ番組でも投資を扱っています。芸能人がYouTubeで投資を語っています。数年前まで、街中で投資話を耳にすることはまずありませんでしたが、昨年くらいから投資話をされることもあります。それだけ投資が一般化しつつあるということでしょう。これは、2024年から始まった新NISAによる効果だと思います。

新NISAが始まって5カ月ほどが経過し、おおむね前向きな報道が多いなかで、逆張りを仕掛けてくるメディアもあります。新NISAが始まった2024年の年始から日経平均株価は上昇を続けて4万1000円台まで到達しました。ところが、軟調に転じて、そこから3000円以上値下がりしたときに「新NISAを損切り」なる報道を見かけました。

また、「政府が、医療・介護保険に、金融所得の反映のありかたを検討する」旨の報道に、「新NISAさせておきながら、事実上の課税を仕掛けてくるんだ」という憶測(感想)を見ました(新NISAが対象になるとは決まっていません)。または、これだけの円安のタイミングで米国株に投資すれば、円高になったときに損をするという考えの方もおられるようです。

私はその報道や一部の世論に違和感を覚えています。本稿では、「新NISAで軌道に乗る人・頓挫する人 私が考える共通点6」を紹介し、新NISAをどう活用すれば勝ち組になれる可能性が上がるのかを解説します。

新NISAおさらい

新NISAについて、おさらいしておきましょう。主に5つのメリットがあります。

(1) 通常、投資信託や株式などで儲けたお金には約20%の課税があります。新NISAでは、これがただ(非課税)となります。譲渡益(売却益)も配当金・分配金も非課税です。

(2) 旧NISAでは非課税期間が有期であり、大きな足枷になっていました。新NISAでは、非課税期間が無期限化されました。

(3) 旧NISAでは生涯の投資上限額が十分とはいえませんでした。新NISAでは生涯の投資上限額が1800万円(簿価)まで増額されました。

(4) その1800万円の非課税枠は再利用が可能になりました。つまり、A社の株に投資、数年後に利益確定(売却)すると、その簿価分だけの非課税枠が、翌年以降に再利用できます。

(5) 旧NISAでは「つみたてNISA」と「一般NISA」のどちらか選択制でした。「つみたてNISA」は「つみたて投資枠」に、「一般NISA」は「成長投資枠」に、それぞれ生まれ変わり、併用が可能となりました。どちらかのみ使っても構いません。ただし、成長投資枠のみ使う場合は、生涯の投資上限枠は1200万円(簿価)です。

新NISAにはこれらメリットがあり、旧NISAの欠点とされていた部分がおおよそ解消されたといえます。私は「神NISA」と呼んでいます。非課税期間が無期限、投資上限額が拡大となったため、年齢や資産額、得意な投資法、入金力(投資に回すことができる金額のこと)」などを鑑みながら、いろんな選択肢が取れるようになりました。

非課税枠の再利用ができるようになりましたので、どんな投資をするのか迷っている人には、試行錯誤も可能です。通常なら利益に約20%もかかる税金がただになるのは嬉しいですね。逆にいえば、国は新NISAを用意したから「老後2000万円問題」は自分で解決してよ……と腹のなかで思っているのかもしれません。