「その他健康食品」よりは選びやすいが…

消費者庁から図表2のような説明図も示され、消費者にとってもおのおのの食品の位置付けがわかりやすくなりました。ばくぜんとした「その他健康食品」よりは、国の制度に則って「機能性表示食品」と表示された製品のほうが消費者も選びやすかったでしょう。

【図表2】健康食品の分類
出典=消費者庁リーフレット「健康食品Q&A

ちなみに、今も、機能性等を表示できない「その他健康食品」が「がんを抑える」などと病気への効果・効能をうたい、薬機法違反で摘発される事件が起こります。5月9日にも、福井県警が「大腸がん抑制効果」を広告しサプリメントを販売していた社長を逮捕したことが報道されました。

とはいえ、昔はもっとひどい状況だったのです。

お粗末なエビデンスでアピールする“罪”

結局のところ、機能性表示食品は思わせぶりに効果をアピールする「その他健康食品」よりはマシです。しかし一方で、「その程度のお粗末なエビデンス、しかも小さな機能性。そして、安全性は検討不足にもかかわらず、そこまで派手に包装に表示し、おおげさに広告宣伝しますか?」という機能性表示食品も氾濫している、というのが今の状況についての私の見立てです。

やはり、“功”よりも、国民に「効くかも」「安全かも」と錯覚させだます“罪”の方が圧倒的に大きい、と感じます。

エビデンス不足については既に、さまざまな事例が報道されていますが、ここでは「特定保健用食品」(トクホ)との関係で興味深い事例を紹介しましょう。トクホは国が表示を許可しており、第三者である専門家が内容をチェックします。機能性表示食品と同じ成分を同じ量含む製品がトクホとして申請されましたが、許可されなかったことがあります。

機能性表示食品として届け出られたのが「蹴脂粒しゅうしりゅう」。トクホとして申請されたのは「蹴脂茶」です。

機能性表示食品としての届出書類によれば、機能性は「キトグルカン(エノキタケ抽出物)を配合しており、体脂肪(内臓脂肪)を減少させる働きがある」。1日あたりの摂取目安量に含まれる機能性関与成分の含有量は、エノキタケ由来遊離脂肪酸混合物として2.4mg。

安全性についてはラットやマウスで試験を行ったほか、計24人を対象に摂取目安量の5倍量を4週間連続して摂取する試験で異常がなかったことや、計80人を対象に摂取目安量を12週間食べてもらう試験で異常がみられなかったことを根拠として、2015年4月に届出されました。