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国際特許出願件数企業別ランキング

現代自動車も、鄭会長の下で欧米や日本の技術を貪欲に学び、業績を拡大してきた。2011年の決算では過去最高益を達成。その収益をハイブリッド車や燃料電池車などの開発に投入する。

早大大学院教授の小林氏は、躍進の理由として「コスト競争力」を挙げる。

「日本企業の場合、部品を1点1点、細かくつくっているためにコストが嵩んでいます。一方、現代自動車はコスト管理が徹底している。日本人はよく『ものづくりのDNA』と自負しますが、その職人気質が足かせになっています」

現代は今年から、日本での技術者の採用活動を始めている。電機業界だけでなく、自動車業界でも人材流出が起こりつつあるのだ。

技術流出を防ぐためには、知的財産の防御策が欠かせない。国際特許出願件数を比較すると、意外にもサムスンは少なく、シャープやパナソニックが圧倒している(図参照)。しかし、東京理科大学専門職大学院教授の生越由美氏は、「日本の特許はビジネスに繋がっていない」と訴える。

「特許権は国ごとに取得しなければ効果がありません。サムスンは保有技術の特許や、デザインの意匠権を世界中で取得しています。日本は国内市場を重視するあまり、海外での特許権取得が手薄になった。また、日本企業は『性能』で特許を取るケースが多いのに対し、サムスンやアップルは、タッチパネルのような『使われ方』や『面白さ』を考慮したアイデアを積極的に特許化して成功しています」

いつのまにか色褪せた「メード・イン・ジャパン」の神通力。そこに「技術への過信」はなかっただろうか。

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