インドは技術立国になれない

【エミン】インドはIT系、システム系のサービス業で経済を伸ばしてきて、今後もそうした分野は順調に成長していくと思います。

何よりも同じ14億人でも、まもなく高齢化社会を迎える中国とは異なり、若い人口が多いのが最大の魅力です。2050年になっても平均年齢は38歳というデータも出ています。

ベトナムとインド2つの旗
写真=iStock.com/Oleksii Liskonih
インドとベトナム、これから投資するならどっち?(※写真はイメージです)

いまのインドに不足しているのは道路、鉄道、水道などのインフラでしょう。とりわけ上下水道、生活用水の整備を進展させなければいけません。これまで不足していたものを、急いでつくっていく必要がある。そうなると、インフラ開発ニーズがふんだんに多い国として、経済はますます伸びていくのです。

けれども、インドが日本や中国、台湾、韓国のような製造業中心の“技術立国”になるのかといえば、私は、そうはならないと考えています。文化的に難しいところがあるからです。

衛生度を底上げしなければ海外メーカーは進出できない

【大橋】知り合いのインドの方は、インドが本当に必要としているのは、雇用を生んでくれる海外メーカーの進出だと言っていたのを思い出しました。

【エミン】来てもらいたいのでしょうが、残念ながら、工場を進出させるにはインフラが整っていないと難しい。ハイジーン(衛生度)全体を底上げしなければ、世界の名だたる製造業はインドにはなかなか出てこないでしょう。

まず何より、水インフラはきわめて重要です。ただ、さすがの凄腕のモディ首相も水インフラの整備には“苦戦”しています。

さらに海外から専門家が、エキスパートがインドに赴任して来ないようではまずいでしょう。残念ながら、インドに関しては、そのような問題が横たわっています。