まず人口増を止めなければならない

【エミン】また、人口増をなんとか止めないといけません。雇用が伸びないのが要因と思われますが、このままでは地方の治安がどんどん悪くなります。宗教問題で対立が起きているのも、人口が多すぎて職につけない人が増加し、国民に不満のマグマが溜まっているからです。

インドの憲法では、カースト制度を理由にした差別を禁じているのですが、実際にはカースト制度は社会に根付いている。こうした要素も将来的にインド自体の足を引っ張る可能性があるかもしれません。

インドはゴールドのナンバーワン消費国

【大橋】近年は中国の台頭で首位が入れ替わりましたが、インドはかつてゴールドのナンバーワンの消費国でした。

エミン・ユルマズ、大橋ひろこ『無敵の日本経済! 株とゴールドの「先読み」投資術』(ビジネス社)
エミン・ユルマズ、大橋ひろこ『無敵の日本経済! 株とゴールドの「先読み」投資術』(ビジネス社)

インドは古くから国民が伝統的にゴールドを買う習慣があります。ディワリと呼ばれる新年を祝う光の祭り(収穫祭でもある)や婚礼シーズンにはゴールドの需要が飛躍的に高まります。インドでは花嫁が嫁ぐ際にゴールドを持参するという伝統的習慣により、娘が3人いると一家が傾くとさえ言われています。

冗談ではなく、インドの貿易赤字の背景にはインド国民のゴールド需要が強く、ゴールドの輸入が大きいことが影響しています。

【エミン】なるほど、海外からもどんどんゴールドを買っているのですね。

【大橋】個人が海外からゴールドを買いすぎて赤字になることから、インドはゴールド輸入関税を引き上げるなどしていますが、インドの貿易赤字は拡大する一方です。インドの貿易収支には独特なものが見られるのですが、貿易収支の赤字はインドのウィークポイントですね。

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